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人の数だけ、答えがある。おなやみ相談本を読んでみる

テレビ、雑誌、ネットでも、一大コンテンツと言っていい、おなやみ相談というジャンル。本もその例外ではない。書籍化され、完全保存版となった、人生の指南書をいくつか厳選。

Photo: Miyu Yasuda / Text & Edit: Asuka Ochi

おなやみ相談本は、数え切れないほど出版されている。試しに、Amazonで「おなやみ」と検索してみたところ1万件以上、「悩み相談」「人生相談」でも2000件以上がヒット。すべては網羅できないので、個人的に悩みを聞いてもらいたい人の本を選んでみた。

北方謙三『試みの地平線 伝説復活編』

北方謙三『試みの地平線』

まずは、伝説の回答「ソープへ行け!」であまりにも有名な作家・北方謙三さんの『試みの地平線 伝説復活編』。ホットドッグ・プレスで1986年から16年にわたって連載された同名の人生相談から名回答を集めた文庫本である。10〜20代の青々とした若者の悩みに、ズバッと一撃の答えを与えてくれるのが気持ちいい。

とにかくページをめくるたびに、ハードボイルドな言葉が突き刺さる(突き刺さりそうな言葉を、わざと強調した書体にしているから、というのもある)。口臭と体臭に悩む青年には、禅寺で3年間修行をすれば肉も魚も食べられなくて臭いも気にならなくなるが、それが嫌ならソープに行け!と。ソープ嬢に「クセェ」と言われたら、「これが俺の臭いだ」と言ってやれ、だなんて。そんなふうに言ってくれる大人が、身近に思い浮かばない。(講談社文庫/¥594)

ジェーン・スー『女のお悩み動物園』

ジェーン・スー『女のお悩み動物園』

ラジオ番組や雑誌などで女性たちの悩みに寄り添い、スーさんに聞けば間違いないという、悩み相談のスペシャリストたる安定感すら抱いてしまう。「真面目に生きていれば悩んで当然!」と、自分の人生経験をもとに、優しく親身に寄り添ってくれる姿勢がまず嬉しい。

例えば、遠距離の彼と喧嘩をした女性に、「残念ながらもう復縁はできないかもしれない」その理由を7つ挙げて説明した上で、行いの何がダメだったかまできちんと解説してくれる。「私のことが好きなら、××してくれるはず」は、百年の恋も冷める原因ランキングで100週連続第1位という言葉に納得。その上で、恋を取り戻すためのヒントまでくれるなんて、勝手ながら、悩み相談したい親友になりたいランキングナンバー1と言わせてください。(小学館/¥1,650)

鴻上尚史『鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』

鴻上尚史『鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』

AERA dot.で連載中の、作家で演出家の鴻上尚史さんの人生相談が書籍化。先に紹介した『試みの地平線』が13年で更新してきた8刷を、2019年の書籍化からわずか2年で達成しているのも凄まじい。なぜか。

例えば、「モテる男になるにはどうしたらいいか」という悩みに、致命的にイケてない部分がないか、この人と一緒にいたくないと思わせる理由がないか、それを素直に聞ける人がいるかまで確認した上で、それに当てはまらないなら、好きにさせる“いいポイント”が何もないからではないかと考察する。さらに、いいポイントが何もない自分に、モテるためのポイントを足していくための具体的な方法まで解説している。“人生相談の実用書”と言ってもいいような、頼りがいがある。(朝日新聞出版/¥1,430)

カレー沢薫『人生がより散らかる! 深刻お悩み相談室(1)』

カレー沢薫『人生がより散らかる! 深刻お悩み相談室』

マンガ家・カレー沢薫さんのお悩み相談室は、マジでどうでもいいくだらない悩みを、深く掘り下げて致命傷寸前まで打ちのめしてから救い出すコメディー。

「パンストがすぐ破れる」「ソルティドッグの塩はどれだけ舐めるべきなのか」「乳首に一本生えた剛毛をどうするか」「眼鏡がすぐ汚れる」とか本当にどうでもいい「知らんがな!」な悩みを拡大解釈した最後に、絶滅危惧生物を代表してマヌルネコ氏が救いの手を差し伸べる。だから「なんやねん!」と突っ込みつつも、悩みから本質的に解き放ってくれるのが笑いであり、ネコなのだなと思う。悩むことがアホらしくなる、ほのぼのとした愛のある一冊。(小学館/¥1,000)