箭内道彦
毒舌に不可欠なのは愛と気遣い。どれだけ率直でも、人を不快にさせない鮮やかな技術が要求されます。誰かを傷つければそれはただの悪口、言葉のナイフになってしまう。原則的に毒舌は、世知辛い世の中をより良くするために強い相手と対峙する格闘術。場に居合わせない人に使うにはさらに高度なテクニックが必要。
初級者の鍛錬に、毒舌の最後に必ず「いい意味で」とつけてみるのはどうでしょう。「なにもわかってねえな。いい意味で」「ほんっとダメなやつだな。いい意味で」。いつかその補助輪が外れる日に向けて。
エリイ
飲むと人格変わるっていうのがありますが、その人が元々持ってる本質なんだと思う。チンポムメンバーの岡田は普段はほぼ喋りませんが、酒が進むと饒舌で会議中でも缶チューハイを片手に持っています。感覚をぼやかさないと世界がキツいのかもしれません。
岡田は飲み過ぎると思っていることを本人に言ってしまいます。七光だとか、なんも意味ない展覧会だったとか。そんな岡田がとっている方法は早めに帰ること。泥酔の二歩手前でどんなに盛り上がっていても帰ります。まだ意識が残っているうちに客観性を持つのが吉。
大根 仁
世代的に毒舌で真っ先に浮かぶのはビートたけし。昭和の漫才ブームの頃、客席に「おいそこのブス!」「バカみてえなツラしやがって!」と毒を撒き散らしながらも爆笑をかっさらう姿は衝撃でした。たけしの毒舌は泉谷しげるがライブで客と口喧嘩をするMCの影響で漫才に取り入れたそうです。
その泉谷の毒舌MCにも元ネタがあって、それは初期のRCサクセションの清志郎のMC。ファンの女の子に「ブス!」「帰れバカ!」。最高ですね。なぜ彼らが愛されるのか?3人に共通するもの、それは愛嬌とユーモアです。