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箭内道彦、エリイ、大根仁「おなやみ相談室」:素直に行動できない

クリエイティブディレクターの箭内道彦、Chim↑Pom(チンポム)のエリイ、映画監督の大根仁が読者のお悩みに答える連載の第205回。見事に三者三様な回答をぜひご覧ください。お悩み相談も随時受付中。前回の「隣人からのプレッシャー」も読む。

Illustration: sigo_kun / Edit: Asuka Ochi

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先日、駅のホームにハンカチが落ちていました。拾って駅員に届けようと思いましたが、自分のことをいいかっこしいみたいに感じて、拾わずにスルー。家に帰ってから、ひどく罪悪感を感じました。良いことに限って素直に行動に移せない気がします。どうしたら心に感じるままに体が動くようになるのでしょうか?

(デザイナー/44歳/男)

おなやみ相談室_素直になれない

箭内道彦

幼少期の自分は、すべての行動を森永エンゼルパイのCMソングに監視されていました。「♫だァれもいないと思っていてもどこかでどこかでエンゼルはいつでもいつでも眺めてる」。ずるいことや悪いことをしようとする時、必ずこの歌が頭の中に聞こえてきて、笑顔のエンゼルと目が合ってしまい、その行為が抑止され善行へと導かれた。今検索してみたら、サトウハチロー作詞、芥川也寸志作曲。やはり名曲ですね。あなたがくれた素直な相談がきっかけで一つ知識を得ました。ありがとうございます。

エリイ

やっぱ普段から身についてないことは、いざとなると咄嗟に身体が動くのはむずい。日頃から訓練しないと。小学生の時、街中の誰も見ないような隙間とか変な所ばかり覗くので大金をゲットしていました。よく交番へ行って警察官に褒められるのですが、じゃあ代わりにピストル抜いて見せてよ、と言っていたのを思い出しました。その金は一定の期間を経て持ち主が現れない場合は全額もらえることや、現れた場合は御礼や言伝があることなど社会への参加体験にはまっていました。祖母の家を基点にして行い、楽しかったな!

大根 仁 

かつて道端に落ちているものの定番は軍手でしたが、最近はマスクですね。ハンカチ、軍手、マスク、どれも微妙に不潔で拾う気にはなりません。このジャンルで一番触りたくないのは動物の死骸ですが、地獄のAD生活だった20歳の頃、土砂降りの麻布十番の道の真ん中で車にかれて死んでいる野良猫の死体を、道路の脇まで動かしたことがあります。今ならスルーだと思うのですが、その野良猫に金もなく彼女もおらず未来も見えない自分を重ねていたのかも。首のあたりの凝り固まった肉の感触を今もハッキリと覚えています。

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