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箭内道彦、エリイ、大根仁「おなやみ相談室」:集中できない

クリエイティブディレクターの箭内道彦、Chim↑Pom(チンポム)のエリイ、映画監督の大根仁が読者のお悩みに答える連載の第194回。見事に三者三様な回答をぜひご覧ください。お悩み相談も随時受付中。前回の「息子が真面目すぎて心配」も読む。

Illustration: sigo_kun / Edit: Asuka Ochi

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家業を継いで書の道に入りましたが、なかなか集中して作品と向きあうことができません。コロナで教室も休んでいるため、気がつけばケータイ片手にSNSを巡回し、炎上ネタをまとめて一日が終わっていく。特に〆切もなくダラダラしてしまいます。日々コツコツ集中してやるために、みなさんはどうしていますか?
(書道家/25歳/男)

集中できない

箭内道彦 

水泳の池江選手とゴルフの松山選手が努力の素晴らしさを教えてくれましたね。作品の場合は、集中というより夢中になる瞬間に生まれるものなのかもしれません。僕は35年前、藝大受験の3浪目「描きたくて描いているのではない自分」に気づき、描きたくなるまで描くのをやめました。1年ぶりに描いた絵は、表現欲に溢れる力強い絵でした。その感覚が今も消えません。25歳書道家、継いだ家業と一度距離を置いてみてはどうでしょう。初期衝動とともに書の道に戻るのか、それとも違う居場所を見つけるのか。

エリイ

一言で言えば高等遊民の余暇ですな。しかしこのお悩み相談の〆切が来るの早すぎませんか?ブルータスって一体どんな速度で刊行されてるんですか?とうに〆切は過ぎ校了日になって昨夜エリイさん原稿お待ちしております、とのメールのやりとりをしたのが5分前くらいの感覚ですが今はもう次の日の夜ですよ。SNSを1回見た日には太陽を20回回ってますよ。この間行った江戸時代から続く旅館のロビーにあった時計の針がチチチチと猛烈に音を立てて速かったのですが〆切がすぐにやってくるのはその関係でしょうか。

大根 仁

誰が言ったか「〆切はクリエイティブの源」、本当にそう思います。あらゆる芸術やカルチャーは発注と〆切によって生まれてきたのです。どんな天才でも〆切があるからモノ作りができ、作品は完成するのです。話題になった『プロフェッショナル 仕事の流儀』の庵野秀明さんもそんなことを言っていました。僕とて、いつもエンジンがかかるのは〆切ギリギリになってからです。実際この原稿も2週間以上〆切を過ぎています。あっ、ギリギリじゃないか。まあ〆切がないならダラダラしてて良いんじゃないすか。羨ましいっす。

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