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箭内道彦、エリイ、大根仁「おなやみ相談室」:聞き返す罪悪感

クリエイティブディレクターの箭内道彦、Chim↑Pom(チンポム)のエリイ、映画監督の大根仁が読者のお悩みに答える連載の第145回。見事に三者三様な回答をぜひご覧ください。お悩み相談も随時受付中。
前回の「老眼が止まらない」も読む。

Illustration: sigo_kun / Edit: Asuka Ochi

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「こないだの店のさ」「昨日のやつどうなった?」と、妻がツーカーの会話をしてくるので、いつも「誰が?」「どこの?」とか聞き返して、「だから、あれだよ、あれ!」と切れられて、場の雰囲気が悪くなります。かといって適当に返事してたらバレたり。あるあるだと思うのですが、どうしたら円滑に行くでしょうか?
(書店員/35歳/男)

聞き返す罪悪感

箭内道彦

みなまで聞かずとも理解しなければならない“ツーカーファシズム”ってありますよね。親密度を確認する尺度に使われたりして。超能力者じゃないんだからわかるわけない。困ったものです。先制パンチであなたがツーカー語を使う手もありますがそれはさすがに感じ悪い。聞き返すのでなく「こないだの店、うん、あの駅前のラーメン屋旨かったよなぁ、また行こう」というふうに、勝手に断定してはどうでしょう。「違う、とんかつ屋のこと」って、相手から具体的な固有名詞を引き出していく。受け身から攻めの対話に転じて。

エリイ

アレで分からないって関係性において読みがアレなんじゃないですか?アレってアレするしかないじゃないですか。私の友人に斎藤工君という仲良しがいるんですが、会う度に「エリイ、いまアレしか言ってないぞ」っていうんですが彼はアレがアレしてああなったのを汲み取ります。最早、晩御飯を食べながら会話を全く交わさない友人もいます。アイコンタクトのみを繰り返し確認しあうのです。どれくらい美味しいかも上手く行ってるかも目と頷きで状況全てが共有できます。アレ自体が分からないのはかなり致命的ですね。

大根 仁 

来ましたね、久しぶりの「知らんがな!」案件。ところでこの「ツーカー」の語源、ご存じですか?僕は最近、明治〜大正〜昭和期のドラマをやっているので当時の流行り言葉をよく調べるのですが、ツーカーとは明治末期から大正期にかけて大流行した言葉で、語源は漢語の「通過の仲」。物事や意思が通過するように相手に伝わるという意味だそうです。まあ、それを知ったところで「知らんがな!」ですよね。ちなみにこういう関西弁のツッコミが全国的になったのは、おそらくダウンタウンのブレイク後ではないですかね?

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