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NYで活躍する気鋭スタイリスト、ジェイソン・ライダーを取材「カルチャーの“ホントのところ”に挑む」

移民をルーツに持つデザイナー、リアル・アジアをレペゼンするスタイリスト、NYで奮闘するアップカミングな2人を取材。彼らの証言から、ファッションシーンの未来を読み解く。

photo: kira Yamada / edit&text: Momoko Ikeda

カルチャーの
“ホントのところ”に挑む。

ここ数年、NYでは企業やブランドが社会運動の影響を大きく受け続けている。モデルの体形や人種の多様性、ジェンダー・ニュートラリティなどを汲むことは“基本のキ”。

ファッション界の様々な既成概念を議論したり打破したりしようとする動きが活発だ。実際にNYの現場にいるファッション業界関係者はこの変化をどう感じているのか。

ベトナム人と韓国人の両親を持ち、『T Magazine』でスタイリストとして活躍するジェイソン・ライダー氏に話を聞いた。

「この変化はとてもポジティブなこと。ただ、アジアをテーマにした撮影では、いまだに大がかりなヘアメイクやコスチュームみたいなスタイリングが多かったりして、リアルなアジアをファッションで表現することはまだまだこれからだね」。

ジェイソンはここ数年自分のルーツである“アジア”を表現することに力を入れていて、80~90年代のアジア映画の主人公のスタイルをインスピレーションにしたり、オーラリーのようなシンプルで上質なブランドを愛用したりしているが、こういったイメージのアジアは今までアメリカの大手雑誌などのメインストリームで語られることはなかったものだ。

「そもそもアジア男性は今まで美のカテゴリーから完全に外されてきて、その美しさに気づきだしたのはアメリカでは本当に最近のことだと思うよ。
キャスティングでも、今までだったら痩せっぽちのアジア人スケーターを起用することはなかった。それが可能になったという点では面白くなってきていると思う。

スタイリングに関しても、ランウェイよりもストリートの方が面白い。チャイナタウンのお年寄りの格好とか、アップタウンの美術館にいるセーターを完璧に肩に巻いたクラシックなお金持ちのスタイルとか。
ブランドもそれに気づき始めて、逆にショーに取り入れ始めたりしているよね」

目立って新しいデザインやシルエットが生まれづらい今、何を着るかよりもどう着るか。またカルチャー的な“ホントのところ”をどう表現して伝えていくか。
文化的にも着こなし的にも、リアルクローズを探求していくことが、今のNYの挑戦のようだ。

スタイリスト ジェイソン・ライダー
Photo:Hart + Lëshkina