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〈4SDESIGNS〉アンジェロ・ウルティアにインタビュー「移民というアイデンティティでデザインする」

移民をルーツに持つデザイナー、リアル・アジアをレペゼンするスタイリスト、NYで奮闘するアッ プカミングな2人を取材。彼らの証言から、ファッションシーンの未来を読み解く。

Photo: Akira Yamada / Edit&text: Momoko Ikeda

移民というアイデンティティで
デザインする。

NYのエンジニアド ガーメンツと〈ネペンテス〉の名物スタッフとして長年知られていたアンジェロ・ウルティアが3年前に自身のブランド〈4SDESIGNS〉をスタートさせた。

エルサルバドル出身の彼は、2歳の頃に母親に抱えられながら国境を越えて不法移民としてアメリカに移住したという生い立ちを持つ。

彼はそんな自分のルーツやアメリカらしい実用的なデザインをベースにしながらも、「男性にファッションで、今までにない体験をしてもらいたい」とイタリアの上質な生地と生産技術を惜しみなく使いながら、新しいスタイルを探っている。

「僕にとって一番NYらしいアイテムの代表はM65のミリタリージャケット。映画『タクシードライバー』や『ジュース』にも出てくるアイコニックなアイテムだよね。今季はそのM65の後部に膨らみを持たせて、女性的なエレガンスをメンズも纏うことができる一着に仕上げてみた。

また、僕が育った黒人コミュニティでは、カールカナイのスタイルが人気だったり、ショーツを5倍くらい大きいサイズで、スカートに見えるようなオーバーサイズを穿くことがクールだったりしたんだ。
そういう思い入れのあるフォルムを、バターみたいな肌触りの高級カシミヤや手の込んだツイードといった上質な素材に落とし込んでるよ」

取材日当日は、奇しくもシュプリームの新クリエイティブ・ディレクターにアフリカ系アメリカ人であるDENIM TEARSのトレマイン・エモリーが起用されるというニュースが飛び込んできた日でもあった。実は、この2人は以前からお互いのクリエイティブを尊敬し合う友人だ。

ヴァージル・アブロー亡き後、新しいメンズシーンがここNYから始まるかもしれないと期待が膨らむ。

「僕が今この仕事をすることができているのはアメリカにいるからだと思っている。もちろんフラストレーションが溜まることもあるけど、マイノリティの人にチャンスがある特別な場所。そして今はとてもエキサイティングな時代だと思うよ!」

〈4SDESIGNS〉デザイナー アンジェロ・ウルティ