WONDER PLANTS JAPAN(大台町/三重県)
三重の奥地で大型植物の魅力を知る。
のどかな田舎町に佇むアメリカンハウスが〈ワンダープランツジャパン〉の事務所、ここに車を止め、オーナーの車で温室へ向かう。着いて早々驚いた、ここの植物はとにかく大きい!
ユッカやソテツに加え、ザンソロエア、エンセファラルトスが人気だそう。「エンセファラルトスだけでも20種はあると思います。ホリダスあたりをきっかけに、ほかの種にもハマってくれると嬉しいですね」と語るオーナーの中村正哉さん。国内ではなかなか手に入れにくいエンセファラルトスだが、ホリダスをはじめ、ラナタスやゲリンキー、イノピヌスにサイカディフォリウスなど、非常に多くの種を揃える。
「大型植物だけでなく、アガベやブロメリアなど、欲しいものは全部買うようにしています。あと斑入りが好きなので、買い付けの際には多く入れるようにしていますね」と言い、珍しいユッカの斑入りを見せてくれた。「植物を含め、生物全般が好きなんです。とりわけ植物に関していえば“芽吹き”の瞬間にときめきますね」
山城愛仙園(豊中/大阪府)
55年かけて作り上げたサボテン&多肉の楽園。
関西に住む植物好きでその名を知らない人はいない〈山城愛仙園〉。代表の山城勝一さんは高校生でサボテンの魅力に目覚め、名古屋の〈実生園〉で修業を積み、大学2回生の時に起業したというサボテン愛に溢れた人だ。
インターネットもなかった昭和37(1962)年当時、まだ珍しかった通信販売を企画し、カタログを発行して広く販売を手がけたというアイデアマンでもある。「それぞれに個性的な姿をしているのがサボテンの魅力。今はほかのどんな花にも負けない、可愛らしい花サボテンに惹かれて自ら交配を行っています。すでに発表したのは1,000種ほど」というから、そのサボテンへの情熱はとどまるところを知らない。
ドイツやメキシコ、南米から仕入れたもの、実生から育成したもの、花サボテンなど、販売場に並ぶその数は8,000種以上。山城さんも把握できないほどだという。量はもちろん質も圧倒的。奥へ奥へと広がって連なるハウスは、サボテン&多肉への新たな扉を開いてくれそうだ。
養庄園(池田/大阪府)
自分だけの株を選び出すのが贅沢な直売所。
盆栽専門店として知られる〈養庄園〉に多肉・サボテン部門が登場したのは2014年のこと。若いながら店長に抜擢された赤松佳奈さんは、〈和歌山シャボテンクラブ〉会長を父に持ち、子供の頃から立派な温室で育つサボテンや多肉に親しんできた経歴の持ち主だ。
広々とした敷地で盆栽はもちろん、観葉植物も品揃えとクオリティの両方を兼ね備えて展開する〈養庄園〉だけに、「多肉も、やるなら徹底的にとハウスを2棟と育成棟を1棟建てることに」なったという。実生や挿し木など様々な技法の育成に力を注ぎ、2,000以上の株がずらりとハウスに並ぶ姿は圧巻。
その中で稀少な品種を見つけた時の喜びはもちろん、ポピュラーな品種も数多く並ぶ中から、好みの形を選べるのはここならではの楽しみ。「コーデックスもそうですが、とりわけ力を入れているのはアガベ。肉厚で葉の幅が広く、覆輪の色が白い氷山が気に入ってます」と目を輝かせる赤松さん。その様子は植物も幸せに育っていると感じさせるものだ。
髙橋園芸(大原野/京都府)
関西を代表する洋蘭の聖地。
京都は日本における洋蘭栽培発祥の地。蘭研究のパイオニアだった加賀正太郎の邸宅で「蘭屋敷」とも呼ばれていた大山崎山荘から程近い、風が吹き抜ける野原に同園はある。当主の髙橋正勝さんは2代目。
衛生兵で硫黄島の戦いの生き残りだった初代が、花の癒やしの力に感銘を受け、地元で園芸店を開いたのが最初だそうだ。取り扱いはおよそ1,000種。輸入にも力を入れ、取材時も「明後日からシンガポール、タイ、マレーシアへ。月1回は海外に仕入れに行ってますね」というフットワークの軽さで、オエセオクラデスといった珍奇種を仕入れてきた。
客も大半が業者や愛好家と玄人向けではあるが、ハンギングできるコルクに植栽したカトレアなど、マンションでも育てやすいようアレンジされたアイテムも数多い。
「品種改良で寒さに強くなり、今では家でも栽培できるようになりました。蘭の魅力はやはり花ですが、葉やバルブも見どころです」。街場のショップとは異なる、ランダムなレイアウトはまるで宝探し。