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埼玉〈新井エンゲイ〉茨城〈カクタスブライト〉静岡〈copiapoa〉珍奇植物に出会えるナーサリー Vol.2

何十年も続くサボテン農家や、世界の植物を扱う巨大農園。そんな植物の“託児所”には珍種が多く眠っている。自らの手でこだわって探すなら、ナーサリーがオススメだ。

Photo: Atsushi Ishihara, Chihiro Oshima, Fumiko Kawazoe, Kunihiro Fukumori, Nagahide Takano, Natsumi Kakuto / Text: Chisa Nishinoiri, Keiichiro Miyata, Mako Yamato, Shiho Yoshida

新井エンゲイ(さいたま/埼玉県)

愛らしいサボテンが揃うアットホームな屋上ハウス。

初めてサボテンに熱狂したのは高校時代。「生物の先生が窓辺で育てていたのを見た時、この植物はなんだ!と衝撃を受けてね」と、園主の新井喜久夫さん。50歳を過ぎた頃にサボテン愛が再燃し、自宅の庭先や屋上にハウスを建て、小売業も始めたそう。

「うちは趣味の人を相手にしているから、そんなに高価なものは置いてないよ。手に入りやすいものを大切に育て、生長したら株を分けて、こぢんまりやっています。気に入った鉢を見つけてもらえたら嬉しいね。サボテンや多肉植物は、カットしても種をまいても新芽が出てきて、ポコポコ増えていくから、育てるのがとても楽しいですね」と穏やかに話す。

2階の温室ではサボテン、庭先の温室では多肉植物がそれぞれ育つ。遮光や温湿度がきめ細かく管理された温室内には店主の愛情が溢れ、その人柄を表すように素直に育った植物たちはなんだか面構えも優しい印象だ。手入れ方法、株の植え替えなど多肉植物初心者にも丁寧に説明してくれる。

カクタスブライト(ひたちなか/茨城県)

“光り輝くサボテン屋”では上物植物が育つ。

「ここは定年退職してから始めたんだよ。俺は売るより、育てる方が好きだったからね」と語るのは園主の二瓶和宏さん。長年趣味家だったからこそ、〈カクタスブライト〉の植物は状態のいいものばかりだ。

ハウスは全部で9棟あり、そのうち5棟を見ることができる。二瓶さんが好きだというチレコドン、サルコカウロン、キフォステンマといった塊根類が多く揃い、やはりどれも立派に育っている。特にパキポディウム グラキリスやアロエ プリカティリスには自信があるそうだ。これらの植物は株分けや実生で増やしたものが多く、綺麗な親からは綺麗な子が育つと言い、少し前に植えたユーフォルビア アブデルクリやスコエンランディーの子株を見せてくれた。

また、客の3〜4割は女性で、エケベリアや、サボテン、セダムを求めて遠方からも来るそうだ。ちなみにカクタスブライトの名前の由来を聞くと、「茨城にも“光り輝くサボテン屋”があってもいいんじゃないかと思って」と、少し照れながら教えてくれた。

copiapoa(東鷹匠/静岡県)

健康第一の優良株が揃うサボテン専門農園。

ほかではあまり出会えない珍種、高品質のサボテンが良心的な価格で買えると、愛好家たちにファンが多い〈copiapoa〉。店名にもなっている南米原産の黒王丸などのコピアポアや、生産量が多く静岡名物ともいわれるペクチニフェラの斑入りなど、愛好家が目を輝かせるような美しい株が揃っている。

「サボテンにとって最適な温度、湿度に保たれたビニールハウスで状態の良いサボテンを育てることを第一に考えています。無理のない環境でゆっくり育てることで、出荷後もお客さんが育てるそれぞれの環境下で健康的に生長できるように気を配っています」と、熱く語る代表の松田康太さん。品種一つ一つの緻密な研究と試行錯誤による経験則を基に、サボテンに関するどんな質問にも答えてくれる愛と知識は本物。

「現在、実生サボテンの出荷に向けて絶賛生育中です」と、目下サボテン農家として新たな展開も準備中だ。静岡生まれ静岡育ちの健康なサボテンがお届けできる日をお楽しみに。