儲かる野菜は キャベツ
果物は 梨・柿
のっけから下世話な話ですが、儲かる農作物って何ですか?
「“儲かる”の定義が難しいのですが、野菜は(販売金額−経費)÷労働時間の時給換算で、果物は収益化までの期間や初期投資の大きさも加味して算出しました」(つるちゃん)
野菜は①キャベツ②レタス③レンコン、果物は①梨・柿③ブドウという結果になった。
「キャベツやレタスは大規模栽培が前提。一気に作ってワーッと収穫し、そのまま箱に詰めて出荷できるので、時給換算だと割が良くなります」(コッティ)
レンコンは初期投資は少ないが、極寒の中、氷を割って泥水の中に入り収穫するという過酷な作業が待っている。
果物は梨と柿が同率1位。梨は初期投資や袋かけのわずらわしさを考えても、ブドウなどと比べ時間のかかる作業自体が少ない。柿は初期投資が少なくて管理しやすい。ブドウは手間はかかるが、高値で売れる。
「果樹は木を植えても実がなるまで何年もかかります。手間ひまをかけて、おいしい一つの実を作る果樹農家さんは本当に大変です」(つるちゃん)
テントウムシは「生物農薬」
日本には農薬取締法という法律があり、使用可能な農薬、使用時期や使用量などの基準を厳格に定めている。この法律の農薬の定義の一つに「生物農薬」というものがある。これは、病害虫を防ぐ昆虫や菌類などのこと。アブラムシを食べるテントウムシも、きちんと法律で認められた農薬の一種なのだ。つるちゃんも、生物農薬を使っているナス農家の一人。
「害虫の天敵を用意して食べてもらう“天敵利用”を行っています。ダニを食べるタバコカスミカメやカブリダニなどを活用し、農薬撒布は最小限にしています」
天敵の昆虫は販売されているが、畑の周囲にマリーゴールドなど虫が好む植物を植え自然に集める方法もある。
「畑をかわいらしくするために花を植えてるんじゃないんですよ(笑)」(つるちゃん)
人気上昇中の野菜はトウモロコシ
果物は スモモ
野菜や果物にも人気の変動がある。最近、需要がぐんぐん伸びているのはトウモロコシ。鮮度が高いものは特に甘くておいしいことが消費者に知られるにつれ、わざわざ産地の直売所に行く人も増加中。
「値段が高くてもいいから甘くておいしいトウモロコシを食べたいという人は確実に増えてます」(コッティ)
つるちゃんの個人的なイチオシは「とろけ茄子」。白ナスの一種で、加熱するとねっとりとした食感が特徴。「見かけたらぜひ買ってほしい!」とのこと。
果物の注目株はスモモ。モモに押されて影が薄かったが、つるちゃんの知り合いのモモ農家たちが、「体感だけど、スモモ人気が来そう」と話していたそう。
逆に落ち着き気味なのがトマトとブルーベリー。トマトは多品種が人気だったが、以前ほど勢いはないという。
「楽な作物」は、正直、 ない!
どうせ作るなら、簡単に育つ作物の方がいいのでは?というのは浅はかな素人考えだった。
「小松菜は生育に手間のかからない野菜の代表だけど、収穫の回転数を上げるために努力が必要で、パック詰めも大変!全体の作業量の8割がパック詰めといってもいいくらい。大量生産すれば人手もかかる」(コッティ)
また、果物はこまめな実の管理が必要なので、どれも手間ひまがかかっている。特に大変なのはブドウ。
「ブドウって何もしなかったら一房に1,000粒くらいつくんです。それを30粒くらいまで減らしていき、粒の大きさを揃え、房の形を整えていきます。まさに芸術品を作るアーティスト。単価が高いのも納得」(つるちゃん)
スムーズに育つ作物も、一つ一つに手がかかる作物も、それぞれに違った苦労があるのだ。
野菜、果樹、米……
専門によって、 性格も違う⁉
一口に「農家」と言っても、作っているものによって性格に特徴があるらしい。野菜農家は毎日作業をするせいか、几帳面で休みなく動くタイプ。
「キッチリした人が多いです。作物別の特徴でいうと、トマト農家とイチゴ農家は自分なりのこだわりを持っている情熱家が多い」(つるちゃん)
「わかるわかる。凝り性というか」(コッティ)
果物農家はゆったりした人が多い。
「野菜と違って、露地ものの果物だったら雨の日は休みだし、“この作業は明日”ということができるから、余裕がある」(つるちゃん)
米農家は機械大好き人間が多い。
「農機を自分で整備したり、作物のことと同じくらい機械のことにも詳しい人ばかり」(つるちゃん)
あくまで個人の感想です!
夏は 空調服 が必須
近年、危険な暑さが続く日本。そんななかでも屋外で作業をするのが農家のみなさん。そこで、夏の必須アイテムといえば、「空調服」だ。
扇風機が内蔵されている作業着で、服の中に大量の空気を送り込んで汗を完全に蒸発させ、その気化熱で涼しさを体感できるという仕組み。
「本当に危険な暑さ。従業員みんなに空調服を支給しました。一番暑い時は、内ポケットに保冷剤を入れてます。あとはこまめな水分補給。休憩スペースには塩飴とアイスキャンディも常備して暑さ対策を徹底!」(コッティ)