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長谷川昭雄が綴る、日用品「ハンガーとラックにまともな物はほぼない」

Illustration: Mai Beppu / Edit: Masae Wako

ハンガーとラックに
まともな物はほぼない。

スタイリストにとって大事な道具は、ハンガーとラック。これがないことには何も始まらないし、やる気も起こらない。ところが今まで、まともな物が揃った現場を見たことがほとんどない。僕の知る限り、どんなに立派な服やスタッフが揃う現場でも、大抵は酷いありさまだ。

惨めなほど最初から斜めに傾いたラックは、車輪が取れていることもしばしば。挟み部分が弱く、何度やり直しても、小指がかすった程度の衝撃で滑り落ちるほど“握力がない”パンツハンガーがそこにかかっていることもある。

ウールのコートをかけただけで、その重みで折れてしまうプラスチックハンガーっていうのもある。どれもこれも、アパレルあるあるだ。そもそも、そんな三流品を作り続けるメーカーがいつまでも生き残っていること自体が謎。その会社で働きたい人がいることも不思議だ。よく改良もせずに作り続けているものである。きっと誰もが、ハンガーやラックに興味を示さないからそうなるのではないだろうか。しかしスタイリストにとっては大問題だ。

僕が普段、愛用しているのはハリガネハンガー。軽くて丈夫で、物に合わせて変形させることもできるから便利だ。何よりも収納もしやすいから、保管も楽だ。よっぽどいいジャケットでない限り、キチンとしたハンガーは使わない。重いしかさばるし、立派すぎるのも問題である。

ラックは、10年くらい前にオーダーした、鉄パイプを変形させて作ってもらったオーダー品と、LAロケの際にターゲットで60ドルくらいで購入したものを併用している。ちなみに同店で手に入る30ドル以下程度の安い方は、10秒で壊れるから買わないことをお勧めする。