〈SERAX〉Passe-Partout

ベルギーの建築家、ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンがデザインしたシリーズ。形と線がすっきりしていて、食卓に静かな緊張感をつくってくれる。
削ぎ落とし方に迷いがなく、黒いリムの分量も絶妙。白と黒の対比が美しく、一日の始まりを少し整えてくれるように思う。手に取るたび、つくり手の感覚の確かさを感じる。
〈Cassina〉 699 SUPERLEGGERA

スーパーレジェーラは、大学生の頃からずっと憧れていた。細い脚と貫の組み方に緊張感があり、軽やかさの中に静かな強さが宿る。いつかはと思いながら先延ばしにしていたが、値上げの知らせに背中を押されて手に入れた。
空間に置くだけで、線の美しさと潔い存在感を放つ。ジオ・ポンティの理と感性が、いまも静かに息づいている。
〈薫玉堂〉老山白檀のお香

香りは、空間の気配を整えるものとして大切なアイテム。キャンドルやオイルも使うけれど、やはり白檀に戻ってくる。多くの白檀の香りを試してきたが、今のところこの老山白檀の香りが静かに馴染んでいる気がする。
朝に1本焚き、先祖代々への感謝を託すことを習慣としている。くゆる煙が、部屋に静かな時間を運んでくる。
〈MARGARET HOWELL〉の革靴

靴は、日々の歩みを静かに支えてくれる。靴が素敵な場所へ連れていってくれると、どこかで信じている。だからこそ、気に入った一足を手入れしながら長く使いたい。
出かけるとき、自然とこの靴に手が伸びる。もう20年近く愛用していて、いまは3代目になる。歩き出すと、気持ちが少し前を向く。