渋谷PARCOが開業50周年！記念して行われる『「パルコを広告する」1969-2023 PARCO広告展』は注目だ。
日本の企業の中には、広告表現の牽引役となり、クリエイターを育て、協業してきた宣伝部がいくつかある。例えば資生堂や、グループ会社の西武百貨店宣伝部なども多くの才能を排出したことで知られるが、パルコの広告も日本の広告史を語る上では外せない。
展示は渋谷PARCO半世紀以上の歴史を4つの年代に区分し、それぞれ「2000年代以降／アート」「1990年代／渋谷」「1980年代／広告」「1970年代／予言」とキーワードを付与。エリアを遡行していくことでPARCOの広告クリエイティブの原点が垣間見たり、時代を俯瞰して辿れる構成となっている。
展示作品の選出にはゲストキュレーターとして、BRUTUS.jpで「流行写真通信」を連載中の菅付雅信や、哲学者で作家の千葉雅也など、4つの時代を2名ずつが担当し、対談形式で選出した。その様子を展示会場内で上映するほか、発売される公式リーフレットにも掲載する。
優れた広告というのは、時代の空気を映す鏡のようなもの。パルコの広告クリエイティブが一堂に会するこの貴重な機会にぜひ足を運んでほしい。
「1977 SUMMER」1977年
AD：長谷川好男 I：山口はるみ
アバンギャルドな表現と伝統回帰、ハイカルチャーとサブカルチャーなど相反する価値観の併存は、1970年代のパルコの広告表現、文化活動全般の特徴でした。それは現代の多様性を肯定する「予言」の時代でした。
「狩人か。旅人か。」1983年
AD：井上嗣也 C：糸井重里 P：十文字美信
表層的には明るく軽やかでありながらも、ある種“難解”さを漂わせていた1980年代の「広告」は、表現ジャンルの花形であり、トップクリエイターが時代相の切り取りを競うことで、より洗練されていった時代でした。
「やっぱり、友だちだよね。」1996年
AD：タイクーングラフィックス C：加藤麻司 P：ソフィア・コッポラ
1990年代に入り、「渋谷」は日本におけるストリートカルチャーの中心地となりました。特に渋谷系の音楽やガーリーカルチャーは親和性が高く、その代表格である方々がパルコの広告に颯爽と登場しました。パルコの広告を媒介に「渋谷」へ世界の才能が集い、共振、そして広がっていった時代でした。
「PARCO SAYS,」2005年
AD：箭内道彦 C：山本佳宏 P：重森豊太郎
2000年代を境に広告を含む文化状況の中で「アート」が存在感を増し、今や「アート」は国民的コンテンツになりました。同時並行でデジタル表現も拡大し、広告表現も変化していきました。目まぐるしい変化がある現在ですが、パルコの広告は「アート」と共存し合い、イメージの喚起力に賭ける流儀を絶やさずに表現されています。