2023年に発行の雑誌『BRUTUS』992号では、「器の新時代。」と題した特集をお届けした。日々の料理を盛り付け、お茶やコーヒーを注ぎ、雑貨や小物を収める。さまざまな形で生活に寄り添う「器」は日用品のなかでも主役級の存在感を放っている。2020年のパンデミック以来、自宅で過ごす時間が増えたり、新たに料理を始めたり、自然と器に興味が向くようになった人も多いはずだ。
作り手側もこれまで活躍してきた作家に加え、新たな世代が続々と登場。さらに、日本の器の魅力は海外にも広がっている。海を隔てたニューヨーク・ソーホーでは、日本を拠点に活動する作家の器を厳選した展示会『Recollection - 追想:』が開催される。
主催するのは、日本発のアーティストを世界に発信するライフスタイルプロデューサー集団〈IROHA NYC〉。2025年5月31日(土)〜6月1日(日)の2日間限定で、6組の現代作家による作品を展示。参加するのは、大浦裕記、櫻井美奈子、水谷ちえみ、薮本寛之、杉原伸一、古松淳志、といった面々だ。展示される作品の多くは即売可能となっている(一部レストラン向けの受注生産品あり)。

特別展示企画として、人気和菓子職人・小川フィービーによる限定創作和菓子を展示作品と連動して提供。季節の移ろいを映す和菓子と、器の調和した美を五感で楽しむこともできる。

展示会コンセプトによると「(この展示会は)自然の息吹を感じながら、暮らしに寄り添う器を通じて過去の思い出と未来の可能性を結びつける場所」とされる。作家と自然の対話から生まれた作品の数々は、遠く離れたニューヨークの街角で、日本の自然と文化を追想するきっかけになるだろう。