イタリアのカシミヤブランド〈ブルネロ クチネリ〉が初めて世に送り出すオー・ド・パルファムは、洋服同様に香りを纏う者を柔らかく包み込む。ブランドの哲学が反映された香水もまた、美へのこだわりと職人技術によって生み出された。
イタリアのサルトリアと職人の技術により、カシミヤを中心とした高級なプレタポルテを世に届ける〈ブルネロ クチネリ〉が、男性向け、女性向けの2種類のフレグランスをローンチした。中世の面影を残す、ウンブリア州ソロメオ村の美しい風景に常にインスパイアされてモノづくりをするカーサ・ディ・モーダだけあって、香りの組み立て方にも哲学が宿る。美の文化や、職人技術の価値、クリエーション、人間の持続可能性など、創業者であるブルネロ・クチネリ自身が大切にする価値と完璧に調和する形で表現されているのだ。
メンズの「Brunello Cucinelli pour homme」は、調香師オリヴィエ・クレスプが背の高い糸杉が織りなすなだらかな丘の風景、小さな村々の長い歴史、中世の芸術への嗜好などをイメージした。ジュニパー、アンジェリカ、ブラックペッパーやクラリセージ、ジンジャーなどで表現した、フレッシュなスパイシーさに加え、太陽が降り注ぐような明るさ、ウッディかつ温もりのあるミドルノート、そしてすべてを包み込むソフトなクリーム系のアンバーニュアンスなど、多彩で繊細かつ奥行きのある香りにまとまっている。
一方、レディス「Brunello Cucinelli Pour Femme」はダフネ・ブジェが調香。まるで、カシミヤで包み込まれるかのようなイメージが広がる仕上がりに。シトラスとスパイス系のトーンに、芳しいチェスナッツのニュアンス、そしてムスクが加わるソフトで深みのある香りへと誘われる。
エクスクルーシブな2つのオー・ド・パルファムは、ミラノのサン・ヴィットーレ通りにあるレオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館で発表された。今回の完璧に調和したコラボレーションについて、〈ユーロイタリア〉のジョヴァンニ・スガルボルディ会長からは協業を讃えるコメントが発信された。
一方、〈ブルネロ クチネリ〉の会長兼クリエイティブディレクターによる、「東洋の古代から西洋の近代まで、香水がどれほど長い間女性や男性を魅了し、その人生に寄り添ってきたことでしょう。適度に用いられる香りというのは愛撫のようなものであり、信頼とともに、色に彩られた世界のビジョンを人に与えるものだと考えるのを好ましく思うのです」という言葉も非常に印象的だった。