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“身体性”と改めて向き合った初の油絵も。美術家・ninaの初個展が開催中

YOASOBI「夜に駆ける」のMV等で話題を呼んだ、美術家のninaさん。鮮やかな色彩と繊細な筆致で描く彼女の初の個展が神保町〈New Gallery〉で開催中だ。

text: Emi Fukushima

「身体を忘れたくない」という思いの先に

鮮やかな色彩と繊細な筆致で人物像や背後にある独特な世界を描くninaさん。YOASOBI「夜に駆ける」のMV等で見せた鮮烈なビジュアルは大きな反響を呼んだ。

そんな彼女が初の個展『AfterBirth』を開催中だ。中心にあるのは「身体を忘れたくない」との思い。かねて掲げてきた“身体性”というテーマに改めて向き合う機会になった。

「幼い頃からインターネットが当たり前の環境で育ってきましたが、デジタルの恩恵を受けながらも心のどこかで、それが人間にとって不自然なようにも感じていて。ゆえに表現においては、肉感のような身体のアナログな質感を描くことを試みてきました。

一方で、今回改めてこの自分のテーマに向き合う中では、デジタルが存在しない完全な“自然”に放り出されることもまた居心地が悪いと気づいた。本展では、中途半端で拠りどころがない、けれども自分にとっては自然な状態の“身体”を捉えることを試みています」

この“身体性”を追求する姿勢は手法にも表れる。これまでデジタルツールで絵を描いてきたが、今回は初の油絵作品も発表する。

「クオリティを上げる意味でデジタルなツールは有用ですが、どこかでアナログの模倣品のようにも感じていて。ならば完全アナログ作品に挑戦しようと考えました」。

なお会場は、本展が柿落としとなる神保町の〈New Gallery〉。「どんな色もついていないまっさらな空間で展示ができるのが楽しみ」とninaさん。ぜひ彼女の絵が持つ実物ならではの迫力を、身体のすべてで受け取ってほしい。