Q1:そもそも占星術での星座ってなに?なぜ12個あるの?

A1
地上の生活と空を結びつけて考えられたもの。太陽の“通り道“に12個の星座があります。
「星を眺めてそこに物語をつける営みは、古来世界各地で行われてきました。文化圏ごとに違う星座があったのです」(七嶋さん)
1922年には、国際天文学連合によって88もの星座(=コンステレーション)が認定された。その中に、西洋占星術に登場する12星座も含まれる。占星術上の存在としての星座は、英語では「サイン」と呼ぶ。
では、なぜサイン(星座)は12個なのだろう?そのわけは、太陽の動きにあった。
「天球上で太陽の通り道を黄道と呼び、この上にある12個の星座が占いに登場します。太陽の位置は、農業を営むにあたって非常に重要。地上の生活と空を結びつけて、月ごとにずれていく太陽の“居場所”に星座を当てはめていった、と言ってもいいかもしれません。例えば、太陽が牡牛座にいる春は、牛を使って畑を耕す時節でした」
ただ、牡牛座の時期に、牡牛座は夜空では見えない。太陽がその星座に位置しているということは、その星座は常に太陽と共に昇って沈んでしまうからだ。
「星占いで読む自分の星座とは、正確には『太陽星座』を指します。これは、生まれた時に太陽が入っていた星座のこと。12の星座は、それぞれに異なる性格を付与されています。牡羊座は行動派、牡牛座はのんびり屋さんなど。こうしたキャラクターが、そのサインを太陽星座に持つ人の基本性格に表れやすいのです」
Q2:どういう仕組みで占っているの?

A2
天球上で、10個の天体の位置関係を見ています。
「夜空では、太陽、月、惑星が毎日動いています。占星術は、10の天体(太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星)のフォーメーションを見るものです」
天体は各々“担当分野”を持っていて、太陽は中でもメイン級。自我や「パブリックな自分」を表している。
「対して、月はプライベートや本音を司ります。ほかに、水星は思考と知性、火星は勇気や意欲を表すなどの特徴を持っています」
ただし、天体の性質は、どのエリアに入っているかで出方が異なる。
エリアの分け方には、「サイン(星座)」と「ハウス」の2つがある。サインは、太陽の通り道であり、地球の周りをぐるりと一周する黄道を12個に分けたもの。太陽の一年の動きを12に分けるサインに対して、ハウスは、太陽の一日の動きを12区分したもの。各ハウスもQ1で説明したサイン(星座)と同様に、「家庭」「労働」などの意味を持っている。
「天体が舞台役者だとしたら、サインは役者が演じる役のムードで、ハウスは舞台(場面)を表しています。太陽(主人公)という役者は、乙女座エリアにいると堅実で繊細、隅々まで神経をとがらせるキャラクターを演じる。そして、仕事場や家庭など複数のシーンに出演する……というイメージです」
Q3:なぜ性格や運勢がわかるの?

A3
「天体×エリア」と「天体×天体」を掛け合わせて解釈するからです。
「これに対する答え(根拠)は実は謎です。しかし、占星術の技法で星の配置図を性質や傾向に翻訳すると、性格や運勢と合致してしまう不思議なことが(100%とは言えませんが)あります」
12のサインと12のハウス。それぞれがそれぞれの象意を持っていて、天体のムードと場面を演出する。占星術ではさらに、天体と天体がなす角度などにも注目する。
「60度や120度でつながっていると穏やかな関係性であるなど、角度にも意味が付与されています。複数天体が特別な図形を作っていればそれも加味しますし、順行か逆行かも大きな要素になります」
つまり占星術とは、天体とその位置するエリアの組み合わせや、天体同士の位置関係などの無数のパターンを解釈していくわざなのだ。
「性格は、持って生まれた星の配置(ネイタルチャート)から見えてきます。たとえば太陽と月をそれぞれ対照的な性質のエリアに持つ人の場合、社会的な顔とプライベートでの様子に差があるタイプかもしれません」
では、運勢や相性はどう占うのだろう?
「運勢ならば、運勢を知りたいとき(時期や期間)の星の運行と、自分のネイタルチャートとを重ねます。相性を知りたいなら、自分と相手のネイタルチャートを重ねます。そして、重なった星たちが調和的なのか、ケンカしているのか、高め合うのか、阻害するのか、などを読み解きます。
週報の場合、各星座の運勢は、太陽星座12サインのみをピックアップし、その週の星の運行が、各サインの太陽(公的な自己/メインテーマ)にどう影響するかを考察します(このとき、便宜上太陽は1ハウスにあるとして読みます)」
Q4:……というか、いつどこで始まったものなの?

A4
起源は古代メソポタミア文明と言われています。
夜空の星に意味を見出す。その行為自体は、およそ5000年の歴史を持つという。
「古代農耕社会の人にとって、星の運行は暦を知るための現実的なツールでした。古代メソポタミアでも星の観察記録や、星(星座)に関連した神話や占いについて記した粘土板も見つかっています。現在確認できる範囲ではメソポタミアの占星術が最古であるといえます。それが古代ギリシャへも伝わり、体系化されていきました。しかし、占星術を“邪教の知恵”としていたキリスト教が支配圏を広げるとともに、占星術はアラビア地域を発展の場としていきます。アラブ世界で進化をする期間を経て、後年ヨーロッパに広く伝播していきました。」
「ヴィーナス(金星)」などの天体の名付けも含め、占星術にはギリシャ神話の影響も色濃い。それは、古代からかなり広範にギリシャ文化が根付いていたからだと考えられる。
「現在のように大衆化され、一般の人の性格を診断するのに使われるようになったのは、19世紀から。ただし、星から運命(宿命)が決まる(わかる)と謳うことは、絶対的な神を擁するキリスト教教義に反するため抑圧される場面もありました。そんな情勢の中で、アラン・レオなど、近代の占星術師たちが、星読みを、パーソナルな性格や資質などを読み解くスタイルに発展させたのです」
その後、さらに様々な要素(哲学・神智学・心理学など)が占星術と関連づけて体系化されていく。そこから、今に続く、個人の性格や心理を解き明かす現代心理占星術が打ち立てられていった。
Q5:結局、リアルな日々の中でどう活かせるの?

A5
健康グッズやカーナビのように、生きることを楽にするために使ってほしいです!
歴史も古く、論理的で数学やパズルのような体系を持つ西洋占星術。その仕組みはなんとなくわかったけれど、実際どう付き合っていくといいのだろう。
「まずは好きな占い師さんを探してみてはどうでしょうか。占い師も人間なので、その人がどこにどんな星を持っているかによって占うときの注目ポイントが違う。だから、人によって“当たる占い師”は変わるのです」
人間関係においても、占星術的な観点が役に立つ。
「天体は10個で、ハウスは12個。誰にでも空いているハウスがあり、全方面的に能力やエネルギーがある人はいない。自分とは違う位置に星を持つ人と仲良くなると、互いに補い合うことができるかもしれません」
さらに、恋をしたいときは太陽や金星が恋愛の場面を示すハウスにいるときに行動するなど、星の配置をアクションチャンスに変えることもできる。
「占いをどっぷり信じる必要はありません。占星術は、天気予報だったり人生を少しスムーズにしてくれる、補助線のようなもの。自分の中には複数の星、つまりレイヤーがあると気づけたら、自己矛盾も許せたり、面白がったりできる。さらに他者の性質の理解と受容を助けるツールにもできます。“占い”は、5000年以上続くエンタメでもあります。なので、あまり堅苦しく考えず健康的に楽しく使ってほしいです」