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色褪せることのないグラフィックデザイナー・中山泰の仕事。小磯竜也が志を継ぐ2人展が開催

グラフィックデザイナー・中山泰が逝去したのは2020年のこと。2022年春、デザイナー・小磯竜也が、「2人展」と銘打ち、中山への敬愛を込めた展示を行う。

Text: Emi Fukushima

大瀧詠一主宰の〈ナイアガラ・レーベル〉のジャケットをはじめ、音楽関連のアートワークで多大な功績を収めた中山泰が逝去したのは2020年のこと。

1年以上の時を経て2022年3月、中山に影響を受け、19年には小誌での対談も行ったデザイナーの小磯竜也が、「2人展」と銘打ち中山への敬愛を込めた展示を行う運びとなった。

「構想は、中山さんと2人で進めていたものです。目指していたのは、テーマを決め込むのではなく、セッションをするように作るラフな展示。最後の打ち合わせでの“綺麗な展示にはしたくないな。まぁ、どうせオレたちがやればめちゃくちゃになるだろうけど”との中山さんの言葉が心に残っています」と小磯は振り返る。

アートディレクター・小磯竜也、イラストレーター・中山泰.
小磯(左)と中山(右)による展示の構想は、杯を交わしながら始まった。

思い描いていた形での実施は叶わなかったが、遺志を継ぐ形で実現する本展で発表されるのは、中山の作品を素材にした小磯による絵画やコラージュ作品。作り手として中山作品に向き合うことで、発見があった。

「新鮮だったのは、中山さんの仕事の仕方が見えたこと。原画をじっくり眺めると、線が綺麗で修正がない。紙にもほとんど汚れがなく、丁寧な仕事が感じられて、気が引き締まりました」

そのほか、中山の趣味性が追求されたオリジナル作品も並ぶ本展。

「SNSなどでは多くの画像が流れ去っていきますが、その裏側に、時間をかけて作った“人”がいることを考えてみてほしい。

僕自身、『NIAGARA CM SPECIAL』のジャケットをLPサイズで初めて見た時、手描きなんだ!とか、誰が描いているのだろう?と調べて中山さんのことを知りました。訪れる人にも、実物の質感からその過程、ひいては中山さんの存在に思いを馳せてもらえたら」