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長井短「優しさ告げ口委員会」:肩入れする人

演劇モデル、長井短さんが日常で出会った優しい人について綴る連載エッセイ、第29回。前回の「超座長な人」も読む。

text & illustration: Mijika Nagai

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肩入れする人

5月12日はゼルダの伝説ティアーズオブ ザ キングダムの発売日!勿論私は前もって、発売日に届くよう予約をした。当日、朝から仕事に出かけた私は小まめに配送状態を確認。

しかし、一向に表示が「配送準備」から変わらない。今日中に届くはずなのに、まさか……遅延?嫌な予感を抱えながら家に帰ると届いてないんだこれが。

絶望……購入した会社からはお詫びのメールが来ている。「明日には着きます」の言葉と共にやっと更新された配送状況を見ると、最寄りの郵便局には到着しているようだ。

さて。明日の何時に届くんだ?休みは2日しかない。一分でも早くゼルダが欲しい。もうこうなったらダウンロードする?でもすぐそこにあるんだよ?悩みに悩んだ末、次の朝私は郵便局に電話した。

イラスト_長井短「優しさ告げ口委員会」:肩入れする人

「な、何時頃届きますかね?」。この人に罪はないから無理を言ってはいけないけれどせめて時間を知りたかった。

「そうですね……お急ぎですか?」「はい、すいません」「今ドライバーが出払ってるんですけど、戻ってきたら一番に届けてと伝えます。遅くとも15時までには。ポスト投函ですけど、ベル鳴らしましょうか?」「お願いします!」。

この郵便局に神がいます。まさか中身がゼルダなんて言えないよ!電話を切る直前、彼は少し笑ってこう言った。「もう少し待ってて下さいね」。あれ、バレてる?

もしかして、もう何件もこの手の電話が来てるのか?いや、郵便局にとってこういうのって日常茶飯事なんだろう。嫌になるほど急かされているはずなのに、それでも顔の見えない相手の事情に肩入れしてくれるあなたの為に、私絶対ハイラル救う。

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