年代も造形も千差万別な器が集う“感性の棚”
「母の食器棚は、それはもうビシッと整理されていて合理的で見事でした」と娘。自然な流れで母と同じ「食」に関わる仕事を選んだ娘、野村友里さんの食器棚は、なんというか、もうちょっと「自由」だ。
自然光がたっぷりと入る白を基調としたリビングに置かれた2つの食器棚。背の低い方はダイニングテーブルの横に位置し「ゲストが来たときにすぐに取り出せる食器類が入っています。上はグラス類、中段はスープ皿と取り皿、下は大皿、とざっくり分けて」いる。
西山芳浩、辻和美や小野哲平、宮城正幸といった「ピンときた」作家の器にヴィンテージの〈アラビア〉やフランスのアンティーク皿も交じる。形も千差万別だ。シンプルを基本に、自ら考案した調味料や工夫でオリジナリティを創り出す。そんな野村さんの料理にどこか通じる“感性の棚”だ。
ガラスの扉があるとすぐに取り出しにくそうで、職業柄意外だと伝えると「ガラスが一枚あると、写真立てのように大切にしている気がします。あと外の景色がガラスに映ったりするのを見ると、日常から離れてふっと肩の力を抜くことができるんですよ」。
背の高い方の棚の中は、お茶の道具や貴重な器が占める。「器に限らずですが、いいものは存在感がある。その“気”を放っていてほしいので、いつでも見えるところに置いておきたいですね」