スタイリスト・宇佐美陽平
ハイテクとローテクの狭間にある靴
〈ニューバランス〉って何足も持っているのに、やはり「991」に戻ってくる。UK製ならではの作りの丁寧さやヌバックレザーの質感、爪先から甲にかけて細くなるフォルム。どれも秀でている理想のスニーカーです。これは別注モデルでわずかに暗いトーンなのも、スタイリングしやすい所以(ゆえん)なのかもしれない。2001年に初めて発売されてから、今まで愛用し続けているモデルです。
写真家・RK
現行モデルを“ネオ・ヴィンテージ”化
「エア ジョーダン 1」はトウの形が全スニーカーで一番好き。2023年末に友人のブランド〈フォックストロットユニフォーム〉に制作してもらった一足は、履き潰した風合いを出したり、安全ピンや有刺鉄線のデュプレなど、パンクロックな要素を足したりと、“ネオ・ヴィンテージ”を売りにする彼ららしいアレンジが最高に格好いい。現行のジョーダンがベースなので、ガシガシ履ける。
〈PATH〉〈Equal〉パティシエ・後藤裕一
もう20足以上履き潰した、仕事の相棒
パティシエという職業柄、毎日が立ち仕事。滑りにくく、長時間履いても疲れないスニーカーが欠かせません。白いTシャツと白いエプロンが私のユニフォームなのですが、その足元は常に〈ヴァンズ〉の「エラ」の黒色。定番のモデルですが、履き潰しては同じものを買い続けられる、普遍的なシューズが僕には必要なんです。おそらく現在は20代目ぐらいにはなっていると思います。
アートディレクター・前田晃伸
なにげなく買ったものがスタンダードに
キコ・コスタディノフが〈アシックス〉のインラインの監修に入った時期のシューズ。彼らしい色使いやディテールワークが見事にプロダクトに落とし込まれているのが好きで、よく履いています。少し柔らかい履き心地だったので〈ニューバランス〉のインソールを入れて自分仕様にしました。ぱっと見、異例のコラボレーション?って思われることもあります(笑)。
〈原宿 CASSIDY〉店長・八木沢博幸
汚れているほど格好いい、唯一無二の存在
20代の頃から愛用しているので、履き始めて約50年。クッション性などは更新されながらも、ずっと色褪(あ)せない一足で、ジェームズ・ディーンやヘミングウェイも愛した不朽の名品です。映画『卒業』の劇中でダスティン・ホフマンが泥だらけの「ジャックパーセル」を履いていたので、汚れてもあんまり手入れしない。これが、真っ白のスニーカーのある種の正解なのかなと思います。
著述家・デーヴィッド・マークス
カジュアルにもトラッドにも優秀
私のスタンダードの基準は、履き心地に優れているかどうか。〈ニューバランス〉は随所に技術が詰め込まれているのですが、あえてその部分をデザインで見せないところが素晴らしい。特に「997」はクラシックさと機能性のバランスが秀逸だと思います。デニムやショーツにはもちろん、コットンやリネン生地のスーツにも似合う万能な靴で、長年頼りにしている一足です。