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これが私の“山歩”道 Vol.4 せきしろ、上田恵介、深津さくらetc.

山や身の回りの自然の中を気持ちよく歩くこと、それが“山歩(さんぽ)”。山はもちろん、郊外の緑地や街中の川辺まで。都会の喧騒を離れて息抜きができたり、その土地の歴史や文化について意外な発見があったり、おいしい水やおやつに出会えたり......今回は、心身共にリフレッシュできる、21の“山歩”道を紹介します。

現在、山の魅力を伝える特設サイト「Mt. BRUTUS」もオープン中!

illustration: Shinji Abe / text: Takuro Watanabe, Asuka Ochi, Ryota Mukai, Emi Fukushima, Koji Okano

神経を研ぎ澄まし言葉を思い巡らす、太宰治の墓への東京・武蔵野コース

教えてくれた人:せきしろ(作家、俳人)

西荻窪に住んでいた頃、太宰治の墓までよく歩いていました。越してからもいまだ時折歩きます。何か考えなければならない時、その多くは言葉や文章にすべきことなので、なんとなく太宰の墓をゴールにしていました。歩くと昔を思い出して懐古だらけになることも多いですが、北海道出身の僕の原風景には自然があり、季節ごとの緑に触れると落ち着き、神経が研ぎ澄まされる、あるいは敏感になる。その状態は自由律俳句にも役立ちます。

夏鳥のさえずりに耳を傾ける、野鳥の森、長野・軽井沢コース

教えてくれた人:上田恵介(〈日本野鳥の会〉会長)

日本の夏鳥といえば、オオルリ、キビタキ、サンコウチョウなどがよく知られています。全国各地で観察できますが、初心者には軽井沢野鳥の森がおすすめです。ここには、野鳥に詳しいスタッフもいる〈ピッキオ〉が隣接するから。小鳥だから姿が見えたらラッキー。まずは耳を澄まして、さえずりを聴くことから始めましょう。オオルリなら「ピールーリーリージジッ」などと、緩やかで次第に下がる声で鳴いていますよ。

まるでタイムスリップのような、民話を辿る奥多摩・むかし道コース

教えてくれた人:大石 始(文筆家)

現在の青梅街道が整備される以前に、人々の生活路だった道です。大岩に寄り沿って立つ白髭神社はほかにはない独特の迫力があり、弁慶の腕ぬき岩、耳神様など、民話や民間信仰の名残も多く残っていて、まるでタイムスリップしたかのようなディープなコース。おすすめは奥多摩湖までバスで登って駅まで下るルートで、だんだんと現実に戻る感覚が面白いです。ゴール付近にはクラフトビール店〈バテレ〉や温泉もあって、最高ですよ!

修験道の修行体験もできる、解放感抜群の大阪・犬鳴山コース

教えてくれた人:深津さくら(怪談師)

山岳信仰に密教や道教が結びついて生まれた、日本独自の信仰である修験道。開祖である役行者(えんのぎょうじゃ)が開いたといわれる山の一つが大阪の犬鳴山です。修験道には山伏だけが入れる女人禁制の場所もありますが、ここは女性も入れて、滝行体験は一般の人も参加できます。入口には温泉街があったり、全部で48個もの滝があったりと、水が多く気持ちのいい山です。解放感があって登っていても疲れませんが、時々、不思議な体験をすることも……。

火山特有のエネルギーを感じられる長野・浅間外輪山コース

教えてくれた人:船山 潔(アルパインクライマー、スノーボーダー)

火山である浅間山は、この山の麓で育った僕にとっては一番近くで見てきた山。火山って強いエネルギーが発生しているから、すごく元気になるんですよね。このコースでは火山特有の力強さを五感で感じることができます。あまり登らなくても高地を歩けて、森林限界の先に近い景色が楽しめるんです。短いながらも見どころが多くてストーリーがぎゅっと詰まっているのもおすすめです。楽ではないけど、達成感もありますよ。

佐渡島ならではの植物との出会いが楽しい新潟・佐渡金北山コース

教えてくれた人:根本絵梨子(写真家)

佐渡島は地勢的な理由で、本州よりも低い標高で高山植物を見られるんです。また、登山口近くの標高300m台から立派なブナの木々が現れます。こんなに簡単にブナの森にアクセスできる場所はなかなかないんですよ!春になると山の花がたくさん咲きだして、秋の紅葉シーズンまで花の観察を楽しめるのも魅力。さくっと20分くらい歩いてもいいですし、周回ルートや金北山まで登ったりと、いろいろな山歩きを楽しめるエリアです。

photo/Eriko Nemoto
金北山・神子岩から望む、佐渡島の美しい風景。金北山周辺のブナ林は佐渡の天然林としては最も規模が大きく、佐渡市の天然記念物にも指定されている貴重な樹木だ。