手間のかかる時計を買ったら、新しい自分と、音楽が見えた
以前はバンドメンバーやスタッフの顔色を見ながら仕事をすることも多く、効率重視で身の回りのものを選んでいました。そんな中で、もっと自分の音楽に集中したいと考えて、2024年の春頃に、身の回りのものを一新したんです。
そこには非効率的なものから、新しいクリエイティブが生まれるという考えもありました。ギターをフェンダー社の1965年製のムスタングへ。そして、腕時計は60年代製〈セイコー〉の手巻き式のものを買いました。
調べてみると「部品が繊細なので、ゼンマイを巻いたら、少し逆方向へ戻して止める」など、いちいち一手間がかかる。最初は面倒だと思うこともありましたが、段々と慣れてきて。今は、自分自身が新しくなっていると実感しています。

1959年から60年代まで製造された手巻き式腕時計。〈グランドセイコー〉以前のモデルとして、海外のマニアにも人気が高い。「手巻きなので、毎朝ゼンマイを巻くんですが、ルーティンになっていて、それも気に入っているポイントです」