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〈TOMO KOIZUMI〉デザイナー・小泉智貴の好きな器と、その付き合い方

個展に並んで手に入れた若手作家の器、旅先で一目惚れした骨董品、知人からもらった思い出深い一皿……器には、一つ一つに使い手のストーリーが詰め込まれています。カジュアルに楽しむ新世代の器好きドレスデザイナー、美術作家・小泉智貴が語る、とっておきの逸品と、その使い方。

photo: Masanori Kaneshita / text: Asuka Ochi

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トラディショナルな素朴さに潜む、繊細で“かわいい”仕事

器選びの基準は、丈夫で日常使いしやすいこと。薄くて繊細だと扱うのが怖いのもあって、武骨だけれどオリジナリティのある歪(いびつ)さや、かわいらしいディテールのあるものに惹かれます。展示会で見て、使ってみたいと思ってオーダーしたこの小鉢は、高校時代に地元の千葉で親しくなった友人、田部井勇太くんの作品。

グラフィックデザイナーから陶芸家に転身した彼が作る器は、昔ながらの釉薬の色やどっしりとした厚みがクラシックなイメージながらも、見たことのない縁のデザインなど、いかつさと繊細さのバランスが絶妙。同じシリーズの小鉢も工業製品的でなく、少しずつ細部が違うところがいいなと思います。

いつも使うシーンを想定せず、旅先でも今買わないと二度と出会えないと思って器を手にすることが多いので、食器棚の中は一貫性なくバラバラですが、自分にとっては“かわいさ”
というのが一つの共通点かもしれません。

ドレスデザイナー、美術作家・小泉智貴
田部井勇太の小鉢と大皿。
デザイン業を経て、2018年に栃木県に移住して陶芸を始めた、異色の経歴の作家作。小泉さんと同年代の1987年生まれで、現在は益子(ましこ)の隣の市貝町(いちかいまち)で作陶している。どっしりとした土の質感を生かしたモダンなデザインが特徴的。「お花のような縁のディテールがかわいくて一目惚れした小鉢は、家でも丈夫でガシガシ使えるところも気に入っています」

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