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〈Hender Scheme〉デザイナー・柏崎 亮の好きな器と、その付き合い方

個展に並んで手に入れた若手作家の器、旅先で一目惚れした骨董品、知人からもらった思い出深い一皿……器には、一つ一つに使い手のストーリーが詰め込まれています。カジュアルに楽しむ新世代の器好き〈Hender Scheme〉デザイナー・柏崎 亮が語る、とっておきの逸品と、その使い方。

styling: KANAE GOTO / hair&make: Moe Hikita / photo: Ayumi Yamamoto / text: Kohei Hara

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器は道具。気に留めないほど生活に馴染む、過剰じゃないものがいい

キッチンに立つことが少ないので、器にあまり興味はなかったんです。転機になったのは、築130年の日本家屋で2拠点生活を始めたこと。友人やスタッフがよく遊びに来て、なにかと入り用だったものですから、蔵前のアトリエから程近い古道具店〈白日〉で25cm前後の取り分け用のお皿を20〜30枚ほど見繕ってもらいました。

その時に知ったのが陶芸家の福村龍太さん。銀彩や金彩で作られた器は品があるけど、粗野な雰囲気もあり、経年変化していくさまも素晴らしくて。装飾的なものは好みじゃなくて、“道具として過剰じゃない”というのが僕にとってはすごく大事なんです。

この銀彩のマグカップはアトリエでコーヒーを飲む時に毎日使っていますが、その際に「福村さんの器だ」って意識したりすることはない。そうやすやすと買い替えたり手放したりしない日用品だからこそ、生活に馴染むものを自然と選んでいますね。

福村龍太のマグカップ。
福岡県うきは市の〈日月窯〉の2代目・福村龍太。銀を用いて装飾する「銀彩」の技法を操る、若き陶芸家だ。こちらは白釉をかけたあとに、気泡の出るマンガン系の釉をかけ、表面をグラインダーやペーパーで丹念に磨き、その上に銀の釉薬を塗り、さらに窯で焼いたもの。「うちの子供に割られたものもあるけど、そのままお香立てとして使っています」
蔵前にある柏崎さんのアトリエには、福村の器や花器以外にも、陶芸家のキム・ホノの作品や、骨董市で購入した日本の古い石皿などが置いてある。

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