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ルー大柴、チェルミコ、森岡督行。ここが私の好きな公園

ライフスタイルや好きな世界観で、大切にしたい公園は大きく変わる。楽しみ方は人それぞれなのだ。公園好きに聞いてわかった、公園の楽しみ方と、その魅力とは。

photo: Kiyoko Eto / text: Kaori Tanabe, Kisae Nomura

宮崎第4公園(神奈川県/川崎市)

ルー大柴(タレント、俳優)
エブリワンで一つのことを楽しむトゥギャザー感が最高。」

太極拳はもう10年ぐらい。ジョギングで立ち寄った時に、たまたま同じマンションのご近所さんに誘われて、試しにチャレンジしてみたんですよ。最初はこんなにも続くとは思ってなかったなぁ」

毎朝6時30分に集合。まずラジオ体操で体を慣らしてから、約20分間の太極拳が始まる。「近所のマダムやジェントルマンと一緒にする、トゥギャザー感がいいんですよ。みんなで一つのことを楽しくやろうっていうね。それでいて、ボディにもいいし、健康を保てている。“スマイル!”って言いながらやっています」。駅から離れた住宅街に位置するため、訪れるのはもっぱら近隣住民。人生の先輩たちから学ぶことも多く、ボランティアにも精力的に取り組む。

タレント・ルー大柴

「僕にとって身近なエコ活動のプレイスが、このパーク。月に1度トイレ清掃をしたり、フラワーの手入れをしたり。昔はさ、近所の子にも声をかけるおじさんいたじゃない?そういう感じでいたいんですよね。若い人の参加もウェルカム。でもね、仕事がありますから。生活が落ち着いた時の楽しみにとっておくのもいいんじゃないの。太極拳をすることで友達が増えますから」

恵比寿公園(東京都/渋谷区)

chelmico(ミュージシャン)
「私たちの合言葉は、「いったん公園に行こう」です。」

インディーズでブレイクし、今夏デビューするラップユニットのchelmicoにとって公園とは、“アジト”だ。恵比寿にあるライブハウス〈BATICA〉でのライブ後に決まって訪れるのが、遊具が多く並ぶ〈恵比寿公園〉。

ガールズラップユニット・チェルミコ

「恵比寿の街中なのに広くて、息抜きができるんです」と、マミコさん。レイチェルさんは、「年末のライブ終わりに訪れて、滑り台で滑っている瞬間に年を越した思い出も。ここに来ると子供の頃みたいに思い切り遊びます」

自分たちで作詞を行う2人には、公園は創作の場。月に2〜3度、カフェラテ片手に集合するのが定番だ。「作詞をするなら、〈井の頭公園〉のベンチへ。ここだと作業がはかどるんです。作詞中も脳に酸素が届く感じがする」とレイチェルさん。新アルバムに収録される曲中にも〈井の頭公園〉から生まれたものが。

マミコさんは「曲を流したり歌ったりしても、人目が気にならないのもポイント。出来上がった曲は夏がテーマのものが多いですね。やっぱり開放的だからかな」。そう振り返りながら2人で口を揃えた。「公園行こう、が口癖。作詞もだけど、気分をリセットできる大切な場所です」

ガールズラップユニット・チェルミコ
公園での作詞に必携なのはスマートフォン。曲を流しながら、考えてきた歌詞を見せ合って。だいたい2〜3時間かけて仕上げていく。

外濠公園(東京都/千代田区)

森岡督行(〈森岡書店〉店主)
「公園と読書は相性がいいと思うんです。」

毎日何らかの本を読んでいるという森岡さんにとって、公園は読書する場の一つ。この日は何度も読み返しているお気に入りや、これから読みたい本など5冊を持参。

内沼晋太郎 著『これからの本屋読本』
内沼晋太郎著『これからの本屋読本』、岡啓輔著『バベる! 自力でビルを建てる男』など勉強になり、考えるヒントにもなる本を。

「公園と読書は相性がいいなと思うんです。本を読むということは、物語の中に入っていくとか、人の意見に共感するとか、別の世界に行く感覚がある。仕事と実生活の境目みたいなところにある公園と、本の世界が自分の中に立ち上がってくる感覚が合うのではないかなと」。数多くある公園の中でも〈外濠公園〉は特別だという。

「傍らに濠があり、水の気配が感じられて爽やかなところがいいですね。自分が通っていた大学が近くにあって、当時、飯田橋から赤坂見附まで〈外濠公園〉を毎日のように歩き、道すがらベンチでよく本を読みました。それが懐かしくてここで本を読みたくなるんだろうと思います。〈外濠公園〉で本を読む必然みたいなものが、先にあるのかもしれませんね」。

ちなみに、最近は読書のほかにも楽しみがある。「娘と近くの〈市ヶ谷フィッシュセンター〉に寄るのが好きなんです。金魚釣りはたぶん達人の域に達しています(笑)」

〈森岡書店〉店主・森岡督行