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精神科医、ミュージシャン・星野概念が選ぶ、ぼーっとしている時に聴くと沁みる独奏曲

星の数ほどあるクラシック曲は、聴き方も楽しみ方も人それぞれ。気持ちを落ち着かせてくれる曲から幽体離脱を促す曲まで?クラシック通27人が極めて個人的なテーマで選んだ3曲を一挙に公開します。

Text: Aiko Iijima, Konomi Sasaki, Saki Miyahara / Edit&Text: Emi Fukushima

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入口は、風変わりな友達が教えてくれた
爆音のグレン・グールド

唐突ですが、漢方薬と音楽って似ていると思うんです。複数の生薬の組み合わせで作られるのが漢方薬ですが、混ぜる種類が多くなると、個々の効果は出にくくなるといわれていて。

音楽も同じで、歌や複数の楽器の組み合わせで作られるポップスやオーケストラよりも、混じり気ない独奏の方が、音自体はより心に刺さると思うんです。だから、ただ心の奥底から音に浸りたい時は独奏曲を聴きます。

クラシックを教えてくれたのは、大学時代の友人。家には任侠漫画とクラシックCDしかない風変わりなやつで(笑)。彼が爆音で聴けと教えてくれたのが、グールド演奏の1。音の美しさが衝撃的でした。

2はサムイル・フェインベルグというピアニストの演奏で。平均律はいろんな人が弾いていますが、彼の演奏が僕にはしっくりきます。3はアンドレス・セゴビアの演奏が良い。彼の音には独特の温かみがあって癖になるんですよね。車でしっとり聴くのも好きな一曲です。

1. 「ゴールドベルク変奏曲 BWV988」/バッハ

『バッハ:ゴールドベルク変奏曲(81年デジタル録音)』
『バッハ:ゴールドベルク変奏曲(81年デジタル録音)』演奏:グレン・グールド(ピアノ)/デビュー盤以来26年ぶりの再録音。鬼才・グールドの墓碑銘といえる名盤。ソニー・クラシカル/¥1,600(CD)。

2. 「平均律クラヴィーア曲集 全曲」/バッハ

『平均律クラヴィーア曲集 全曲』
『平均律クラヴィーア曲集 全曲』演奏:サムイル・フェインベルグ(ピアノ)/ロシア随一のバッハの名手による平均律全集。1958〜61年にかけてレコーディングされた音源を収録。Venezia/廃盤(CD)。

3. 「フーガト短調 BWV1000」/バッハ

『セゴビア/バッハ全録音集 1927-1955』
『セゴビア/バッハ全録音集 1927-1955』演奏:アンドレス・セゴビア(ギター)/「現代クラシックギター奏法の父」とも呼ばれるセゴビアのバッハ録音の集大成。IDIS/輸入盤:オープンプライス(CD)。

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