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映画監督、脚本家・園子温が選ぶ、シナリオを書く時に、気分を高めてくれる3曲

星の数ほどあるクラシック曲は、聴き方も楽しみ方も人それぞれ。気持ちを落ち着かせてくれる曲から幽体離脱を促す曲まで?クラシック通27人が極めて個人的なテーマで選んだ3曲を一挙に公開します。

Text: Aiko Iijima, Konomi Sasaki, Saki Miyahara / Edit&Text: Emi Fukushima

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ピアニスト、ラザール・ベルマンの
天才性と二面性に思わず心酔!

小学生の頃、映画のサウンドトラックを聴いて、まだ観ぬ映画の内容を勝手に想像するのが好きでした。名作『ゴッドファーザー』もサントラが入口だったような。時には内容を観てがっかりするような作品もありましたが(笑)、映画を通じてクラシックにも馴染んでいきました。今もシナリオを考える時は必ず聴いています。

1と2は、父が昔よく家でかけていたロシアのピアニスト、ラザール・ベルマンの演奏。幼心にその雰囲気にグッときて、いつしか父よりも自分の方がハマってました。この人とにかく天才なんです。

技術のうまさはもちろん、その演奏は繊細さと大胆さの両方を兼ね備えていて。映画音楽のようなドラマティックさもあるので、聴くとシナリオを書く情緒に持っていきやすいんです。

3は、大好きなガリー・ベルティーニの指揮で。彼の率いる演奏は男性的でダイナミック。大胆な美しさがあって、筆が進まない時でも気持ちを奮い立たせてくれますね。

1. 「ピアノソナタ第23番ヘ短調 作品57 《熱情》」/ベートーヴェン

『Lazar Berman - The Complete CBS Recordings〈完全生産限定盤〉』
『Lazar Berman - The Complete CBS Recordings〈完全生産限定盤〉』演奏:ラザール・ベルマン(ピアノ)/ロシアピアノ界の巨匠の6枚組ボックス。ソニー・クラシカル/輸入盤:オープンプライス(CD)。

2. 「ピアノ協奏曲第3番ニ短調 作品30」/ラフマニノフ

『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番/カーネギー・ホール・ライヴ』
『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番/カーネギー・ホール・ライヴ』指揮:クラウディオ・アバド/演奏:ラザール・ベルマン(ピアノ)、ロンドン交響楽団/ソニー・クラシカル/¥1,800(CD)。

3. 「交響曲第1番〜第8番」/マーラー

『マーラー:交響曲全集』
『マーラー:交響曲全集』指揮:ガリー・ベルティーニ/演奏:ケルン放送交響楽団ほか/ベルティーニの名を飛躍的に広めた1984〜91年のマーラー・レコーディングを収録。EMIクラシックス/廃盤(CD)。

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