神と呼ばれたチェリストが奏でる
「叫び」のような音楽との対峙
今回選んだのはすべてパブロ・カザルスが演奏する曲のSPレコード。クラシック音楽が好きな知人にSPレコードを聴かせてもらったことをきっかけに、自分でも集めるようになりました。余韻のある人間らしい音や、1曲終わるたびに盤や針を替えなければいけない手間。それゆえに“ながら聴き”ができず、強制的に音楽に集中させられるアナログさに惹かれてしまったんです。それに弦楽器の音がすごくいい。音域が狭いので向き不向きはありますが、弦楽器の音には生々しさ、荒々しさが共存する言い難い魅力を感じます。
1は音のレンジこそ広くないものの、ラッパ吹き込み特有のアコースティックな雰囲気に引き込まれます。
一方で、2のような情緒的な曲では、電気録音の方が好きなんです。音が鮮明でレンジ幅にほんのりゆとりがあるので、ラッパ吹き込みの盤よりもリッチに聞こえるんですよ。
3は説明不要の名曲・名演!作者と奏者が同じ国の出身だと、グッと締まります。カザルスの音には「叫び」のようなものを感じるんですが、それでいてどこか力が抜けていて、自然に聴くことができる。それに彼はルックスも良いですよね。顔がいいなと思った演奏家は、やっぱり演奏自体も好きだったりするんです。