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スタイリスト・林道雄が選ぶ、パブロ・カザルスの名盤より、SPレコードで体感したい3曲

星の数ほどあるクラシック曲は、聴き方も楽しみ方も人それぞれ。気持ちを落ち着かせてくれる曲から幽体離脱を促す曲まで?クラシック通27人が極めて個人的なテーマで選んだ3曲を一挙に公開します。

Photo: Keisuke Fukamizu / Text: Aiko Iijima, Konomi Sasaki, Saki Miyahara / Edit&Text: Emi Fukushima

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神と呼ばれたチェリストが奏でる
「叫び」のような音楽との対峙

今回選んだのはすべてパブロ・カザルスが演奏する曲のSPレコード。クラシック音楽が好きな知人にSPレコードを聴かせてもらったことをきっかけに、自分でも集めるようになりました。余韻のある人間らしい音や、1曲終わるたびに盤や針を替えなければいけない手間。それゆえに“ながら聴き”ができず、強制的に音楽に集中させられるアナログさに惹かれてしまったんです。それに弦楽器の音がすごくいい。音域が狭いので向き不向きはありますが、弦楽器の音には生々しさ、荒々しさが共存する言い難い魅力を感じます。

1は音のレンジこそ広くないものの、ラッパ吹き込み特有のアコースティックな雰囲気に引き込まれます。

林 道雄(スタイリスト)

一方で、2のような情緒的な曲では、電気録音の方が好きなんです。音が鮮明でレンジ幅にほんのりゆとりがあるので、ラッパ吹き込みの盤よりもリッチに聞こえるんですよ。

3は説明不要の名曲・名演!作者と奏者が同じ国の出身だと、グッと締まります。カザルスの音には「叫び」のようなものを感じるんですが、それでいてどこか力が抜けていて、自然に聴くことができる。それに彼はルックスも良いですよね。顔がいいなと思った演奏家は、やっぱり演奏自体も好きだったりするんです。

1. 「G線上のアリア」/バッハ

『AIR FOR G STRING.』
『AIR FOR G STRING.』演奏:パブロ・カザルス(チェロ)/20世紀最大のチェリスト、パブロ・カザルス最初期の演奏を収録。当時の若々しい雰囲気をリアルに残した名盤。Columbia/廃盤(SP)。

2. 「夜想曲第2番変ホ長調 作品9 NO.2」/ショパン

『NOTTURNO IN “MI BEM. MAGG.”-OP.9, NO.2』
『NOTTURNO IN “MI BEM. MAGG.”-OP.9, NO.2』演奏:パブロ・カザルス(チェロ)/20世紀初頭にはこれを弾かなければ客が帰らなかったというほどの人気を誇った一曲。DISCO GRAMMOFONO/廃盤(SP)。

3. 「スペイン舞曲集 作品37-5《アンダルーサ》」/グラナドス

『SPANISH DANCE』
『SPANISH DANCE』演奏:パブロ・カザルス(チェロ)/「スペインのショパン」として名高いエンリケ・グラナドスの代表作の一つ。スペイン音楽の新たな傑作と称された。HMV/廃盤(SP)。

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