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フリーライター、音楽ジャーナリスト・中村真人が選ぶ、デスクワーク中に聴くと心がすっとする3曲

星の数ほどあるクラシック曲は、聴き方も楽しみ方も人それぞれ。気持ちを落ち着かせてくれる曲から幽体離脱を促す曲まで?クラシック通27人が極めて個人的なテーマで選んだ3曲を一挙に公開します。

Text: Aiko Iijima, Konomi Sasaki, Saki Miyahara / Edit&Text: Emi Fukushima

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名だたる名曲の陰に隠れた
大作曲家たちの清澄な音に慰められる

仕事柄、デスクワークの時間が長くなりがち。そんな最中にかけるのは大編成の交響曲より、こぢんまりとした室内楽やピアノ曲。行き詰まった時も、逆に筆が乗っている時も、いつでも心を慰めてくれる曲を選びました。

ブラームスといえば重厚なイメージが強いですが、晩作はどれも秋晴れのように澄んだ表情と物悲しさに満ちています。名高いのはクラリネット五重奏曲ですが、私はさらにその後、死の3年前に書かれた1も愛聴。

第3楽章のなめらかなメロディが始まると、心がすっとします。そして、ドビュッシーがその晩年、やや風変わりな編成のために書いたのが2。華やかなフルート、深々とした中音域のビオラ、きらめくハープの組み合わせが絶妙です。

一方、大作曲家たちが晩年になって獲得した清澄さを10代で獲得していたのがメンデルスゾーン。弱冠17歳で書いた3は、その天才性の象徴でしょう。生き生きとしていて、聴きながら心が弾みます。

1. 「クラリネットソナタ第1番ヘ短調作品120の1」/ブラームス

『ブラームス:クラリネットソナタ第1番&第2番、他』
『ブラームス:クラリネットソナタ第1番&第2番、他』演奏:レオポルト・ウラッハ(クラリネット)、イェルク・デムス(ピアノ)、ワルター・バリリ(バイオリン)ほか/ウェストミンスター/¥1,700(CD)。

2. 「フルート、ビオラとハープのためのソナタ」/ドビュッシー

『ビリティスの歌〜ドビュッシー&ラヴェル:室内楽曲集』
『ビリティスの歌〜ドビュッシー&ラヴェル:室内楽曲集』演奏:アンサンブル・ウィーン=ベルリン/1989年、オーストリア、アーバーゼー、聖コンラート教会での録音。ドイツ・グラモフォン/¥1,143(CD)。

3. 「序曲《夏の夜の夢》作品21」/メンデルスゾーン

『メンデルスゾーン:序曲集』
『メンデルスゾーン:序曲集』指揮:クラウディオ・アバド/演奏:ロンドン交響楽団/メンデルスゾーン生誕200年の企画盤。アバドの管弦楽曲集に、スケルツォを追加した。ドイツ・グラモフォン/¥1,143(CD)。

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