名だたる名曲の陰に隠れた
大作曲家たちの清澄な音に慰められる
仕事柄、デスクワークの時間が長くなりがち。そんな最中にかけるのは大編成の交響曲より、こぢんまりとした室内楽やピアノ曲。行き詰まった時も、逆に筆が乗っている時も、いつでも心を慰めてくれる曲を選びました。
ブラームスといえば重厚なイメージが強いですが、晩作はどれも秋晴れのように澄んだ表情と物悲しさに満ちています。名高いのはクラリネット五重奏曲ですが、私はさらにその後、死の3年前に書かれた1も愛聴。
第3楽章のなめらかなメロディが始まると、心がすっとします。そして、ドビュッシーがその晩年、やや風変わりな編成のために書いたのが2。華やかなフルート、深々とした中音域のビオラ、きらめくハープの組み合わせが絶妙です。
一方、大作曲家たちが晩年になって獲得した清澄さを10代で獲得していたのがメンデルスゾーン。弱冠17歳で書いた3は、その天才性の象徴でしょう。生き生きとしていて、聴きながら心が弾みます。