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作家・恩田陸が選ぶ、クラシック3曲。初めて聴いた時の衝撃と感動にいま一度立ち戻りたい

星の数ほどあるクラシック曲は、聴き方も楽しみ方も人それぞれ。気持ちを落ち着かせてくれる曲から幽体離脱を促す曲まで?クラシック通27人が極めて個人的なテーマで選んだ3曲を一挙に公開します。

Text: Aiko Iijima, Konomi Sasaki, Saki Miyahara / Edit&Text: Emi Fukushima

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心を掴まれた、
ラヴェルの超絶技巧曲に含まれたさりげないユーモア

幼少期からピアノ曲は聴いていましたが、いわゆる広義でのクラシックを聴き始めたのは社会人になってからですし、全く聴かない時期もありました。聴き慣れるとBGM化してしまう音楽。最近キチンと「聴いて」ないな、と思った時に聴き直す3曲です。

1は、小学6年の時に聴いて、その独創的なメロディの数々、実在する絵から着想したという物語仕立ての構成に驚き、圧倒されました。弾けもしないのに楽譜を買ってもらいましたが、私の小さな手ではもちろん無理でした。

2は、社会人になってから、たまたまテレビで聴いて全身が震えるほど感激。超絶技巧を要する曲ですが、さりげなく含まれるユーモアにもぐっときます。

3は、学生時代に管楽器を吹いていたんですが、全く自分が「吹いて」などいなかったと思い知らされた曲。普通、オーケストラは楽器を聴き分けられますが、シカゴ交響楽団は、音があり得ない完成度で溶け合う、異次元レベルの演奏です。

1. 「展覧会の絵」/ムソルグスキー

『ソフィア・リサイタル1958』
『ソフィア・リサイタル1958』演奏:スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)/巨匠・リヒテルが世界的に認められるきっかけとなった、1958年2月に行われた演奏会の記録。デッカ/¥1,200(CD)。

2. 「ツィガーヌ」/ラヴェル

『カーネギー・ホール・リサイタル』
『カーネギー・ホール・リサイタル』演奏:五嶋みどり(バイオリン)/ニューヨークのカーネギー・ホールのオープン100周年を祝うライブ音源を収録した1990年録音盤。ソニー・クラシカル/¥1,600(CD)。

3. 「管弦楽のための協奏曲 Sz.116」/バルトーク

『バルトーク:管弦楽のための協奏曲、弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽、ハンガリー・スケッチ』
『バルトーク:管弦楽のための協奏曲、弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽、ハンガリー・スケッチ』指揮:フリッツ・ライナー/演奏:シカゴ交響楽団/RCAレッド・シール/¥2,000(SACD)。

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