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写真家・大森克己が選ぶ、自分の葬式で流してほしいクラシック3曲

星の数ほどあるクラシック曲は、聴き方も楽しみ方も人それぞれ。気持ちを落ち着かせてくれる曲から幽体離脱を促す曲まで?クラシック通27人が極めて個人的なテーマで選んだ3曲を一挙に公開します。

Text: Aiko Iijima, Konomi Sasaki, Saki Miyahara / Edit&Text: Emi Fukushima

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20世紀から21世紀へ
自分の人生を象徴する大切な名曲を

クラシックに限らず、音楽は祭りや儀式と切り離せませんよね。自分のために人が集ってくれる機会は、僕にはもう葬式くらいしかないので(笑)、そこで流したい曲を。

1は、弦同士の対話がエロティックかつ霊的。19世紀の曲ですが、調和のとれた響きの中に、現代の予兆のような不協和音が突然に現れます。バロック・チェロの先駆者、ビルスマ率いるこの演奏は、ピチカートがたまらない!

2はスークのロマンティックな曲を、一番好きな室内楽グループ・長岡京室内アンサンブルの演奏で。音の立体感、響きの美しさと絶妙なテンポは比類がありません。

3は青春の思い出。80年代の貧乏学生だった頃、池袋西武百貨店にあった本屋〈アール・ヴィヴァン〉で写真集を読み漁っていて、そこでよくサティがかかってました。だからかこの曲は、極私的に写真史の尊敬すべき先人、D・アーバスやR・フランクと強烈に結びついていて。20世紀の光と影を象徴する一曲です。

1. 「弦楽五重奏曲ハ長調 D956」/シューベルト

『シューベルト:弦楽五重奏曲ハ長調 D956他』
『シューベルト:弦楽五重奏曲ハ長調 D956他』演奏:ケネス・スローウィク(チェロ)、アンナー・ビルスマ(チェロ)、ヴェラ・ベス(バイオリン)ほか/ソニー・クラシカル/廃盤(CD)。

2. 「弦楽セレナード変ホ長調 作品6」/スーク

『〜ボヘミアからの風〜 スーク&ドヴォルザークの弦楽セレナード』
『〜ボヘミアからの風〜 スーク&ドヴォルザークの弦楽セレナード』演奏:長岡京室内アンサンブル/スークの弦楽セレナードは2002年の音源。エヌ・アンド・エフ/¥4,286(SACDハイブリッド+ボーナスCD)。

3. 「ジュ・トゥ・ヴ(好きよ)」/サティ

『エリック・サティ:新・ピアノ作品集』
『エリック・サティ:新・ピアノ作品集』演奏:高橋悠治/70年代に日本におけるサティ・ブームを牽引したピアニスト・高橋悠治の約40年ぶりの再録音作品。日本コロムビア/¥3,000(UHQCD)。

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