20世紀から21世紀へ
自分の人生を象徴する大切な名曲を
クラシックに限らず、音楽は祭りや儀式と切り離せませんよね。自分のために人が集ってくれる機会は、僕にはもう葬式くらいしかないので(笑)、そこで流したい曲を。
1は、弦同士の対話がエロティックかつ霊的。19世紀の曲ですが、調和のとれた響きの中に、現代の予兆のような不協和音が突然に現れます。バロック・チェロの先駆者、ビルスマ率いるこの演奏は、ピチカートがたまらない!
2はスークのロマンティックな曲を、一番好きな室内楽グループ・長岡京室内アンサンブルの演奏で。音の立体感、響きの美しさと絶妙なテンポは比類がありません。
3は青春の思い出。80年代の貧乏学生だった頃、池袋西武百貨店にあった本屋〈アール・ヴィヴァン〉で写真集を読み漁っていて、そこでよくサティがかかってました。だからかこの曲は、極私的に写真史の尊敬すべき先人、D・アーバスやR・フランクと強烈に結びついていて。20世紀の光と影を象徴する一曲です。