日本中のおいしさを一度に並べて
新人の頃に初めて全体を構成した1冊。「お取り寄せ」とは言いつつ、大型スーパーに並ぶ全国の醤油をぜんぶ並べて味見したらどう違うんだろう?というような想像から考え始めた特集でした。
4人の審査員を立てて12ジャンルを試食・審査して……という作りを考えて、大勢のスタッフと準備して、ずらりと揃った品々を前に、一発勝負の試食会。あの朝の緊張感は忘れられません。
楽しかったな、「切り抜き3部作」
こちらは、自分仕事です。当時(2016年)、書店やコンビニなどの店頭で、目に入った瞬間に「これは読んでみたい!」と思ってもらえる表紙を作れないかなと試行錯誤しておりまして、結果、このお皿ごと料理写真を切り抜くフォーマットに辿り着きました。いま見ても、おいしそうです。
この方法は、その後に自分が担当する、852号「とんかつ好き。」、885号「おいしいコーヒーの教科書2019」の表紙にもつながっています。自分史的には勝手に「切り抜き3部作」と呼んでいます。
シティ特集は、旅人にはもちろん、住人にも重宝の充実ぶり
BRUTUSを最初に読んだのは、1996年の美術特集「君はフェルメールを見たか?」でした。大学で西洋美術史専攻だったので、編集部でバイトしていた同級生が教えてくれたんです。以来、「『日本のフレンチ』の実力が知りたい!」など覆面調査ものをはじめ、よく読む雑誌の1冊に。このNY特集は、NY留学中の2000年に、遊びに来た友達が持って来てくれました。貪るように、ボロボロになるまで読んで、お店を巡りました(リサーチ力すごいなこの人たち。。。って思いながら)。
その後、掲載されていた「Visionaire」編集部でインターンしたり、留学期間の後半は、NY特集のおかげで大充実だったのを覚えています。その後何年も経って、BRUTUS編集部に入って作ったロンドン特集が完売して、「ロンドン在住の人達の間で奪い合いになってるよ」って褒めてもらった時に、すごく嬉しくて。あの時のNY特集の担当の人もそんな気持ちだったんだろうな、って感慨深かったです。
驚異の部屋(Cabinet of Curiosities)ならぬ、驚異の特集
「断捨離」や「ミニマリスト」という言葉が流行っていた当時、時代に逆行するタイトルワークに痺れたのを覚えています。ハッとされられたと言いますか。誌面に登場する、狂気の蒐集家たちの熱量も凄まじく、何かに強く魅せられた(取り憑かれた?)大人って面白いなと思わされました。
BRUTUSCOPEで好きだった連載「きたれ変態さん!」の拡大版も嬉しかったです。今でも人の蒐集物を見せてもらうのが好きで、その気持ちは珍奇植物や珍奇鉱物特集へ引き継いでいます。
“半歩先”ってなんだろう?
一人でまるごと一冊特集を作るとき、一番参考にする特集です。当時を知るライターさんから聞いた話。当時音楽好きの間で流行りつつあったボサノヴァをBRUTUSが取り上げたことで、一般誌ながらも音楽好きから一目置かれ、多くの人に広まるきっかけになった、と。
BRUTUSが1000号続けてきた“半歩先”を特集する。一歩先では早すぎて、一歩遅れてもいけない。この号がそんなスタンスを象徴しているように感じて、常にデスクの脇にお守りのように置いてます。
1000冊の歴史を積んだバスがあなたの街にもやってくるかも
創刊1000号を迎えたBRUTUS。この記念すべき瞬間を読者のみなさんと一緒にお祝いするため、BRUTUSのアーカイブ1000冊すべてを載せた移動図書館「BRUTUS1000号」が運行中!
1980年に誕生した創刊号から最新の1000号まで、バックナンバーを実際に手にとって、時代とともに歩んできたBRUTUSの歴史に触れられる特別な機会です。
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