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1000冊から選ぶ、編集部員の思い出の特集は?#BRUTUSこの1号 Vol.2

1980年に創刊したBRUTUSは、今年で通巻1000号。BRUTUS編集部員が1000冊の中から選んだ、思い出に残る特集とは。

“最強”の表紙

No.642 2008年7月1日号『緊急特集 井上雄彦』
No.642 2008年7月1日号『緊急特集 井上雄彦

稀代のマンガ家に迫った1冊です。井上さんの仕事場に張り付き、描く様子を目にも写真にも焼き付けて、あれこれお話を伺い、たくさんのラフや資料を見せてもらい……という幸運な取材期間に。この表紙用の原画、“最強”を体現する武蔵の眼光に息を呑みました。大切に受け取って編集部へ戻る電車の中、バッグを抱えてソワソワ立ったり座ったり、我ながら挙動不審だったに違いありません。

2ヶ月間の“言葉”のドキュメント

No.706 2011年4月15日号『今日の糸井重里

学生の頃(90年代)からBRUTUS読者なので、“この1冊”となると途方もない量から選ぶことになるのですが、編集部に14年も在籍していたので、せっかくなので自分が担当した特集から選びました。

『ほぼ日』主宰の糸井重里さんに2ヶ月間密着して、その言葉を拾い続けて作った特集。近年の編集者の仕事は多様化していて、特集をつくる以外にもいろんなことに時間をとられる状況なんですが、今振り返るとこういう作り方ができたのは贅沢な体験だったなと。

もちろん、糸井さんが、ずーっと社外の人間がついてまわる(それこそ経営会議まで!)という状況を受け入れてくれたくださった寛容さあってのことで、それも幸運でした。入稿の時期に、東日本大震災が起きたことなどもありいろいろな思いが込められた、忘れられない特集です。

おもしろが深まった1冊

No.835 2016年11月15日号『漫才ブルータス

柴犬好きとしては犬特集シリーズも....と迷いましたが、個人的に一番読み直している特集はこちらです。

まだブルータス読者だった2016年秋、傑作漫才の書き起こしが載っていると聞いて発売日に書店へ。その足で喫茶店に入り、サンドウィッチマン「街頭インタビュー」の“読む漫才”を初体験。何度も観たはずのネタなのに、テキストにするとこんなに新しい発見があるんだ!とワクワクしたのを覚えています。

そして当時雷に打たれたのは、サンキュータツオさんと細馬宏通さんによる漫才の構造分析講座。このページを読んでからは「なんでこの漫才は面白いんだろう」「どんなところに惹かれるんだろう」と自分なりに考えるのが楽しくなって、笑い飯「鳥人」のことももっと好きになりました。以来、毎年M-1の季節が来るとなんとなくこの企画が読みたくて、本棚に手が伸びてしまいます。

物への執着を肯定してくれた1冊

No.771 2014年2月15日号『手放す時代のコレクター特集。

物が好きです。旅に出かけるとまず何を持ち帰るか頭を捻るし、なるべく好きな物に囲まれていたい(貯金できない)タイプです。
でもある時から「物を持たないのが正義」的な風潮が生まれて、どこか乗り切れない気持ちでおりました。
そんな折に見かけたのがこの1冊。物好き、いや、物が好きな自分を肯定してくれる、というかもっとエクストリームな蒐集家方が愛を披露するこの号に心打たれました。その視点、発想があるだけで豊かであり、誌面になる。高城剛さんに始まり立花隆さんで終わる構成然り、ニクくてアツい1冊でした。

とにかく表紙が大好きだった1冊

No.826 2016年7月1日号『Summer Time, Summer Music

学生の頃、友人とルームシェアをして住んでいた家の本棚に、この号を飾っていた。今も表紙を見ると、その頃のことをよく思い出す。21歳。根津のアパートで。畳の部屋で。夏は暑かった。酒が飲めないのにバーでバイトを始めた頃だった。シティポップという言葉をはじめて意識したのもこの号を読んでからだった。一日が長かった…。

雑誌は数週間しか店頭に並ばない刹那的なものだからこそ、記憶と強く結びつくところがあると思う。皆さんの本棚に飾ってもらえる本が作れるよう、今日も粛々と、仕事に励みます。

雑誌の自由さに惹かれた1冊

No.766 2013年11月15日号『特集・ラブソング

BRUTUSの特集扉を読むのが好きです。特に好きなのが、766号「特集・ラブソング」。ラブソングのタイトルが4行詩の形に並べられており、その情感たっぷりの始まり方に感銘を受けたのです。編集者超楽しそう!って初めてこの号を読んだ時に思ったような?

もちろん中身も好きです。aikoのページの、“瞬間を永遠に変え、永遠を瞬間に変える天才。”という見出しには痺れました。良いリード文を書くのが良い編集者です、と入社した時に大先輩に教えてもらいましたが、私も記憶に残る扉を生み出すべく、精進していこうと思う日々です。それではここで私も4行。(やってみたかった。)

気まぐれロマンティック この夜を止めてよ
恋におちたら 君の知らない物語
DAN DAN 心魅かれてく CRAZY FOR YOU
黒毛和牛上塩タン焼680円

ラブソングっていいものですよね。

1000冊の歴史を積んだバスがあなたの街にもやってくるかも

創刊1000号を迎えたBRUTUS。この記念すべき瞬間を読者のみなさんと一緒にお祝いするため、BRUTUSのアーカイブ1000冊すべてを載せた移動図書館「BRUTUS1000号」が運行中!

1980年の創刊号から1000号まで、バックナンバーを実際に手にとって、BRUTUSの歴史に触れられる特別な機会です。
SNSに #BRUTUSこの1号 のハッシュタグを付けて思い出のBRUTUSをポストしてくれた方には、会場で限定ステッカーもプレゼント中。

ぜひ「BRUTUS1000号」に、会いに来てください!