坂東祐大が語る、yuma yamaguchi/山口由馬
音楽制作の現場で、作曲家同士が顔を合わせることは案外ないもので、リスナーとして好きな作曲家にも、なかなか会う機会がないんです。ところが先日、ずっと作品が好きだった作曲家のyuma yamaguchi/山口由馬さんとお話しする機会が。
テレビアニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』で、山口さんが手がけた音楽が、腰が抜けるほど素晴らしかった。特に、イギリスのシンガー、マーラ・カーライルを迎えたタイトル曲は、近年ジャズを席捲しているロバート・グラスパーを想起させるようなハーモニーに、フィリップ・グラスを彷彿とさせる、非常に精緻に練られた細かいパッセージを大胆に融合させたような楽曲。
蓋を開けれればドラムが石若駿くん、僕も所属するEnsemble FOVEのフルート奏者の多久潤一朗さんも参加していて親近感を覚えました。
山口さんはキャリアの最初期、イタリアの〈IRMA RECORDS〉から作品を発表され、ダンスミュージックから音楽活動を開始されていました。しかし、現在の作品を聴くと、もっと広い音楽表現を探求されていて、ダンスミュージックとは対極にある非常に細かい対位法やハーモニーの技術をお持ちだとわかる。
譜面を書くメソッドを勉強し、鍛錬していないと習得が不可能な技法です。しかし、僕が藝大で学んだフランスから持ち込まれた流派とは、違う気がした。その点を山口さんに聞いてみたところ、アメリカで譜面の勉強をされたとのこと。
その時は、作曲のさまざまな話で意気投合し夢中で朝まで話してしまいましたね。今後のプロジェクトでは、僕も『竜とそばかすの姫』でタッグを組んだ作曲家の岩崎太整さんと、そしてTEI TOWAさんと3人で音楽を担当するオリジナルアニメ作品『メタリックルージュ』が2024年1月からオンエアとのこと。とても楽しみです。