Listen

Listen

聴く

語る音楽家、語られる音楽家:坂東祐大→Babi

作曲家・坂東祐大さんが語る、Babi。

illustration: Yoshihumi Takeda / coverage,text: Katsumi Watanabe

連載一覧へ

坂東祐大が語る、Babi

ある音楽に対して「カテゴライズすることが難しい」と表現されていることを見かけたことはないでしょうか?音楽をカテゴライズすることはすごく難しいことです。そもそも音楽家自身が意識的に考えている場合と、そうでない場合がある。そして、第三者が勝手に決めつけている場合も多いと思う。

今回紹介するBabiさんも、カテゴライズすることが難しい音楽家の一人。初めてBabiさんの音楽を拝聴したのは学生の頃。デビューアルバム『6色の鬣とリズミカル』を発表された時でした。独自の世界観を持ちながら、色彩豊かでかわいいと同時に、少し毒気もある。こんな音楽をどんな方が作っているのか、とても気になりました。

Babiのイラスト

ヨーロッパの薫りがするけど、クラシックがルーツという感じでもない。もちろん、歌のメロディや歌詞も、よくあるJ−POPとはまったく違っていた。そんな個性的な作品を、故・坂本龍一さんが評価され、素敵なコメントを寄せていました。後にBabiさんは、昭和音楽大学作曲学科に在籍。多くの音楽家を輩出した名プロデューサー・牧村憲一さんのクラスに在籍されていたと知りました。

ニューアルバム『花降る日』は、Babiさんの今現在の地点を反映しているような作品です。お子さんを出産された現在、日々の生活から丁寧に紡がれた歌詞は、より詩的になったと思います。独自の世界観に浸っていると、インタールードには、フランシス・プーランクの「オーボエソナタの2楽章」の、サックスとトイピアノによるアレンジバージョンが入っていたり(これがまた素敵)。

その引き出しは、本当に予想不可能で、そして、やはりカテゴライズ不可能。ぜひ、山口洋佑さんの素敵なイラストレーションとともに多くの方に聴いてもらいたい一枚です。

坂東祐大が選ぶ3枚

8月にリリースされた新作『花降る日』。
『植物組曲』。「種子」や「根の想像力」などの楽曲に加え「SE−雷の横浜−」なども収録。
『Botanical』。生演奏とエレクトリックが交差した不思議なラブソング「昆虫採集」など。全10曲。

連載一覧へ