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語る音楽家、語られる音楽家:石若 駿→高良真剣

ジャズドラマー・石若 駿さんが語る、高良真剣。

illustration: Yoshihumi Takeda / coverage,text: Katsumi Watanabe

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石若 駿が語る、高良真剣

僕の『Songbook』シリーズをはじめ、アートディレクターとして活躍しながら、La Señasや東京塩麹のメンバーとして、音楽活動も盛んな高良真剣。彼の活動の軸である横須賀のオルタナティブ古民家〈飯島商店〉を運営するなど、いろいろな側面のある人です。とにかく会うたび、新しく、面白そうなことを始めているので、いつも刺激をもらっています。

真剣と出会ったのは、10年ほど前。ミニマルミュージックを演奏する東京塩麹へ参加した時のこと。僕と東京藝大で一緒だった額田大志がリーダーを務めるグループで、真剣はパーカッションと、多摩美術大学へ通っていたことからアートワークも担当していた。

僕はクラシックの打楽器を専攻していたため、譜面を忠実に演奏する。一方、真剣の演奏はまったく異なるアプローチ。話を聞いてみると、中学生からアフリカンパーカッションを学び、その後大学でも没入したそう。2020年には、実際にギニアを訪れ、マリンバの原型になったバラフォンを改めて学んだと聞きます。

高良真剣_イラスト

そんな真剣の演奏は、僕が見たことのないアフリカの風景や、打楽器を生んだ部族の伝統や文化、生活のにおいを感じることができる。真剣は昨年、打楽器奏者の加藤訓子さんがプロデュースしたinc. percussionistsへ参加。スティーヴ・ライヒの楽曲を演奏していました。真剣の音楽に対する探究心を、加藤さんが見初めたんだと思う。

太鼓やバラフォンなどのアフリカ楽器以外にも、山二つというバンドでは、コントラバスを演奏しています。新作『山二つ EP』収録の「タイムカプセル」では、作詞・作曲も手がけていて。緩やかな演奏で、最高でした。真剣の新しい人生が拓(ひら)けるのを垣間見るたび、嬉しい気持ちになります。

石若 駿が選ぶ3枚

8月23日にリリースされたバンド〈山二つ〉のニューアルバム。詳細は公式Twitterなどをチェック。
4月に発表された東京塩麹の新作『Goodbye』。
石若駿『Songbook』シリーズでは、高良はアートディレクターを担当。写真は『Ⅵ』。

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