坂東祐大が語る、Babi
ある音楽に対して「カテゴライズすることが難しい」と表現されていることを見かけたことはないでしょうか?音楽をカテゴライズすることはすごく難しいことです。そもそも音楽家自身が意識的に考えている場合と、そうでない場合がある。そして、第三者が勝手に決めつけている場合も多いと思う。
今回紹介するBabiさんも、カテゴライズすることが難しい音楽家の一人。初めてBabiさんの音楽を拝聴したのは学生の頃。デビューアルバム『6色の鬣とリズミカル』を発表された時でした。独自の世界観を持ちながら、色彩豊かでかわいいと同時に、少し毒気もある。こんな音楽をどんな方が作っているのか、とても気になりました。
ヨーロッパの薫りがするけど、クラシックがルーツという感じでもない。もちろん、歌のメロディや歌詞も、よくあるJ−POPとはまったく違っていた。そんな個性的な作品を、故・坂本龍一さんが評価され、素敵なコメントを寄せていました。後にBabiさんは、昭和音楽大学作曲学科に在籍。多くの音楽家を輩出した名プロデューサー・牧村憲一さんのクラスに在籍されていたと知りました。
ニューアルバム『花降る日』は、Babiさんの今現在の地点を反映しているような作品です。お子さんを出産された現在、日々の生活から丁寧に紡がれた歌詞は、より詩的になったと思います。独自の世界観に浸っていると、インタールードには、フランシス・プーランクの「オーボエソナタの2楽章」の、サックスとトイピアノによるアレンジバージョンが入っていたり(これがまた素敵)。
その引き出しは、本当に予想不可能で、そして、やはりカテゴライズ不可能。ぜひ、山口洋佑さんの素敵なイラストレーションとともに多くの方に聴いてもらいたい一枚です。