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語る音楽家、語られる音楽家:坂東祐大→フランソワ=グザヴィエ・ロト

作曲家・坂東祐大さんが語る、フランソワ=グザヴィエ・ロト。

illustration: Yoshihumi Takeda / coverage,text: Katsumi Watanabe

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坂東祐大が語る、フランソワ=グザヴィエ・ロト

今回紹介したいのは、レ・シエクルというフランスのオーケストラ。主にパリで活動する音楽家を中心に結成されたオーケストラです。音楽監督兼指揮者はフランソワ=グザヴィエ・ロト。父も著名なオルガニストで、彼自身ももともとはフルートを勉強していたそう(演奏をとても聴いてみたかった!)。

そんなロトを中心に集まったオーケストラがひときわ話題をさらったのが、ストラヴィンスキーの代表作、『春の祭典』の演奏。1913年のシャンゼリゼ劇場での初演にて大スキャンダルを巻き起こした作品ですが、彼らはなんと100年後となる2013年に当時の楽器を集め(弦楽器を除く!)1913年5月29日初演時の音の再現に挑戦。eBayなども楽器収集のために使ったとか。

フランソワ=グザヴィエ・ロト_イラスト

クラシック音楽の演奏というのは作曲家が楽譜に書いたものを演奏家が解釈し演奏するのが基本ルール。演奏を重ねるにつれて解釈が複層的に積み重なり、伝承され、それらが慣例となるのです。また楽器も機能性の追求のためにアップデートされていることが多い。

それらを見直し、ある作品を演奏する際、歴史的にふさわしい楽器や演奏様式を用いるべきだという思想をHIP(歴史的知識に基づく演奏)と言ったりしますが、これらは主にバッハなどの時代の作品に対して行われることが多く、まさかストラヴィンスキーのような近現代の作曲家でアプローチがとられるとは思いもよりませんでした。

私のような現代音楽で活動している作曲家であれば、『春の祭典』は隅から隅まで知っているのですが、「そういう音だったのか」という発見の連続で、何度も聴き返しています。クラシック音楽への探究心、また見事にキュレーションされた曲目と瑞々しい演奏に感心するばかり。最後の来日は2018年。近いうちに来日してくれないものか、非常に待ち遠しいです。

坂東祐大が選ぶ3枚

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