小袋成彬
自分にとってナイトクラブは、とにかく自由で、すべてを忘れられる場所です。明日の予定も、請求書も、元カノからのメールも。今ロンドンの自分がいる地域では『Giant Steps』というパーティがあって、人も増えているし、オーナーは3軒目のヴェニューを最近オープンしました。
MIDORI AOYAMA
コロナによって、世代が交代した印象もあります。でも、核になっている音楽は変わらない。コルトレーンやマイルスを2025年の今もかける人はいる。それが大事だし、面白いです。
小袋
例えば『Giant Steps』は、ロンドンの〈Plastic People〉という伝説のクラブのサウンドシステムを受け継いでいたりする。いい音響でいいレコードを聴きたいという気持ちは変わらないですよね。
MIDORI
一曲かけます。~♪
シャンテ・ムーアの「This Time」。自分が20代の頃、こういう曲をクラブで聴いていて、本当にいいなと。最近このレコードをクラブでかけると、やっぱり若い子がシャザムしてこの曲を好きになってくれたりする。
「ハウスミュージックを作り上げたプロデューサー、フランキー・ナックルズが作った曲。今、5回に1回くらいはDJでかけています」(MIDORI)
小袋
自分からも一曲。~♪
アバセです。レコーディングエンジニアはラッセル・エルバド。レコードのための音を作れる人。2024年に出た作品で、これはいいなと。
「ラッセル・エルバドはディアンジェロ『Voodoo』などの作品を手がけてきた人。自分も『Zatto』でこの人にお願いしました」(小袋)
MIDORI
最高ですね。今、日本だと、東京以外の地方のクラブが面白いなと思うことが多いです。でも、ロンドンを例に挙げると、2012年のオリンピックで街全体の再開発が進んで、その後の数年は何もなかったけど、2019年くらいから復活した。
東京も2021年にオリンピックがあったから、あと2、3年できっと面白くなるはず。
小袋
今は大きいクラブより、コミュニティが面白い。これからはもっとコミュニティベースの世の中になっていくと思います。
MIDORI
僕は小袋さんが選挙に出たことを本当にリスペクトしていて。今の時代、カルチャーを変えるには世の中の仕組みから変える必要がある。そのための方法の一つとして、アーティストが政治に挑戦した。
小袋
この考え方は、世の中の8.5%でした。
MIDORI
でも、ゼロじゃない。
小袋
たしかに、8.5%と15%と2%は違います。社会問題に対する考え方は様々でも、ナイトライフやカルチャーを守りたい、そういう一点で動く政治的な行為があってもいいと自分は思う。人間の考え方って、それくらいシンプルでいい。MIDORIさん、2人で「自由深夜党」作りますか。
MIDORI
はい、いつか(笑)。
小袋
いつかね(笑)。自分からもう一曲。~♪
ジャコパスです。
「ジャコパスのアルバムを聴いていたら、これってハウスじゃんと思って。8分くらいあるんですが、ハウスのセットに忍ばせると盛り上がる」(小袋)
MIDORI
僕は小袋さんの曲を。~♪
小袋さんのアルバムは、ジャズ、ソウル、ラテン、レゲエ、それに演歌まで、様々な要素が入っていて。レゲエから和モノへとか、DJで違うジャンルにつなげるときにかけやすい。そういうフュージョンがある。誰もやっていない音楽だと思います。
「ダブと演歌。めっちゃクラブでかけています。途中からレゲエにつないだり、BPM128くらいのハウスにつないだりもできる」(MIDORI)

