近藤良平(振付家、ダンサー)
(1):「ゴリウォーグのケークウォーク(『子供の領分』より)」ドビュッシー
(2):「Dance To The Music」Sly&The Family Stone
(3):「悲しみの果て」エレファントカシマシ
父がピアノの曲が好きだったので、母のお腹の中にいた時から、僕は(1)を聴いていたはず。始まりもかっこよければ、終わり方もかっこよくて、ピアノ演奏と踊りは紙一重だ!と思ったきっかけの曲。これで踊りに目覚めたと言っても過言ではありません。
(2)は「ファンク」という言葉を知るきっかけになった。「ステキなファンクな人にはなれないなー、日本人だもの」を気づかされてしまった曲でもある。
(3)が世に出た当時、おそらく僕は20代だった。これを聴いて、とにかく圧倒され、人生を揺さぶられた。その当時は、西早稲田に住んでいて、この曲を聴いては、戸山公園あたりを西日に向かって走っていました。おそらく涙を流しながら。それくらいは感動していたんです。
コンドルズの初期の作品では、この曲で映像作品を作り、ラストダンスにはこの曲で踊りまくり、生きるための糧にしていました。今思うと、ただただ熱い日々。立ち上がりたくなるようなメッセージのある歌、それこそが踊りたくなる音楽というものでしょう。
坂本慎太郎(ミュージシャン)
(1):「Crazy Love」Alton McClain&Destiny
(2):「What Cha Gonna Do With My Lovin'」Stephanie Mills
(3):「Casanova Brown」Gloria Gaynor
日頃からお酒を飲んでいい感じに酔っぱらってくると、いい音楽が聴きたくなってきます。そして、いい曲を聴いているうちに、だんだんテンションが上がってきて、しまいには踊りだしたくなってきます。(1)はロサンゼルス出身の女性グループによる1979年のファーストアルバム『It Must Be Love』に収録されており、イントロのギターのカッティングサウンドが聞こえた瞬間に、世界がパッと明るくなるような名曲。
(2)はニューヨーク出身の女性歌手による1979年リリースのヒット曲で、抑えめの歌いだしからジワジワとテンションを上げていき、サビでは思わず誰もが両手を上げて踊りたくなる、「アーバン・メロウ・ディスコ」の傑作です。
1975年リリースの捨て曲なしの名盤『Experience』に収録の(3)は、アルバムの中でも特に圧巻の一曲。中間部のブレイクが特にかっこいいパーフェクトなディスコソングで、軽快なパーカッションと突き抜けるような歌唱には、思わず体が踊りだしちゃいます。
菜月チョビ(演出家、女優、〈劇団鹿殺し〉座長)
(1):「I Was Born To Love You」Freddie Mercury
(2):「Give It Away」Red Hot Chili Peppers
(3):「絶好調音頭」劇団鹿殺しRJP
選んだのはどの曲もアーティストのパフォーマンスとセットで心に焼き付いているもの。極限まで体を使って表現される曲ばかりだから、一音一音が自分を中から刺激していきます。「もっと生きてみせろ」と言われているような。
(1)はPVで初めてフレディ・マーキュリーを見て、こんなに何かがみなぎっている人見たことない!と衝撃を受けました。みなぎった自分自身をシャワーのように浴びて輝くフレディに「これが心からのパフォーマンスだ!」と、劇団鹿殺しメンバー全員で毎日彼の真似して踊っていました。以降その完コピができるまでは一人前じゃないという鉄の掟が生まれ、今も続いています。
(2)を頭の中が「ギブルウェー」でいっぱいになるまでエンドレスリピートしながら延々踊り続けて体を鍛えることも。普段は主に演劇をやっているのですが、音楽フェスでパフォーマンスする時の緊張感を吹き飛ばしたい時、(3)で「ぜっこうちょー!」って絶叫すれば、否が応でも元気が出るんです。踊らなきゃやってられない時に必須です。