海外の新しいミュージアムガイド。〈大エジプト博物館〉〈M+〉etc.

世界各地で、その国や都市を代表するような大型ミュージアムの新設やリニューアルが続々。小さくて興味深い、あるジャンルや作家の特化型施設のオープンも目立つ。2021年以降にできた、旅の目的地になる最新のミュージアムをご案内。

text: Mika Yoshida & David G. Imber (Dubai), Momoko Ikeda (HK) / text & edit: Rie Nishikawa

2071年の未来に飛び込む博物館

未来博物館(アラブ首長国連邦/ドバイ)

エレベーターに乗り込んだかと思うと、グングン上昇して宇宙を突き抜け、降り立ったのは2071年の地球⁉VRやARを駆使した没入型ミュージアムの旅の始まりだ。

「近未来」セクションでは空飛ぶフォルクスワーゲンなど、実用間近なテクノロジーを紹介。未来の暮らしや宇宙ステーション、ビジュアル再現されたアマゾン熱帯雨林、また癒やしとウェルネスの空間が5フロアにわたり展開。波打つ水面を下から見上げるような幻想的なエリアも。

未来博物館〈アラブ首長国連邦〉内観
©Museum of the Future

香港の新たなランドマーク

M+(中国/香港)

20〜21世紀のビジュアルカルチャーに焦点を当てたアジア初の大型美術館が香港に誕生。トランスナショナルな視点を持ってアジアの作品と世界との“関係性”を取り上げるという、今までにない切り口を持つ美術館だ。

アートコレクターのウリ・シグの寄贈による世界最大級の現代中国美術のコレクションや、ヘルツォーク&ド・ムーロンらが設計を手がけ、ニューヨーク近代美術館やロンドンのテート・モダンなどと並ぶ広さを誇る館内も話題。

中国〈M+〉内観
photo:Lok Cheng / M+, Hong Kong ©Sun Yuan and Peng Yu

歴史あるオーディオで「音」を体験

オーディウム(韓国/ソウル)

オーディオ+ミュージアムの造語が博物館名。エジソンが発明した蓄音機から始まった、19世紀以降のオーディオの歴史を体系的に紹介する。

1920年代の劇場用の大型スピーカーや50年代の家庭用ハイファイ・システムなど、珍しい音響機器を含むヴィンテージのコレクションを展示し、それぞれの音を体験できるのが特徴だ。地上5階、地下5階の建物は2万本のアルミパイプで覆われている一方、室内は音響を考慮した木材が使用されている。

韓国〈オーディウム〉内観
photo:LEE Nam Sun

古代エジプトの至宝を一堂に展示

大エジプト博物館(エジプト/ギザ)

カイロ近郊、ギザの3大ピラミッドを望める場所に日本の支援で建設、現在プレオープン中。古代エジプトの遺物を約10万点収蔵するうち、現在公開されているのは、時代ごとに分けられた常設展示の12ギャラリー。

今後、ツタンカーメンの黄金のマスクや石棺を含む副葬品がカイロの博物館より引き継がれるという。さらにクフ王が埋葬されるギザの大ピラミッドで発見された全長42mもの「太陽の船」の公開も予定。早くもエジプト観光の目玉に。

エジプト〈大エジプト博物館〉ファラオ、ラムセス2世の石像
プレオープン中の〈大エジプト博物館〉。エントランスでは古代エジプトのファラオ、ラムセス2世の巨大な石像が出迎えてくれる。photo:Alamy / Aflo
エジプト〈大エジプト博物館〉内観
photo:AFP / Aflo