『くず屋の息子(カーク・ダグラス自伝)』
痛快きわまりないご機嫌な自伝だ
今ではこの本も手に入りにくいのではないかと推測する。古本屋でもまず見かけない。でももしどこかで見かけたら、買っておかれて損はないと思う。
血湧き肉躍る、とまでは言わないが、貧しいユダヤ系ロシア移民の「くず屋の息子」から、リッチ&フェイマスな映画スターにのし上がった風雲児の半生が、本人の口から淀みなく語られる。そういう本の例に漏れず、どこまでが真実でどこからが適当なほら話なのか、いささかわかりにくいところはあるが、そういうことを気にしなければ、痛快きわまりないご機嫌な自伝だ。
とくに実名入りで列挙される「この女優とやった」「あの女優ともやった」という総天然色(カラフル)な自慢話(ほとんどやりまくり状態)は、読んでいて唖然としてしまう。ええ、ほんとかよ……みたいな感じで。日本ではこんな本は絶対に日の目を見ないだろう。そういう意味でも貴重な記録かも。