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私が映画を観て沁みた時の話。ラッパー、アーティスト・valknee

あの日あの時、観終えた後に感情が大きく動いた忘れられない一作。ラッパー、アーティスト・valkneeが語る、胸に沁み入る物語に出会った時の記憶。


本記事は、BRUTUS「沁みる映画。」(2024年11月15日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

photo: Wataru Kitao / text: Kohei Hara

こんなに自分を重ねた主人公に出会うのは初めて

ゴーストワールド

映画でも漫画でもなんでも、今まで物語の登場人物に共感したことがなかったんです。どちらかというと、気持ちがわからなくてモヤモヤすることの方が多い。でも、昨年リバイバル上映で観た『ゴーストワールド』は、主人公イーニドの性格にあまりにも共感しすぎて、びっくりしました。

『ゴーストワールド』場面シーン
『ゴーストワールド』
©2001 Orion Pictures Distribution Corporation. All Rights Reserved.

クラスメイトを斜に構えて見てしまったり、「自分はみんなと違う」と証明するためにカルチャーを掘っていったり。そうした生き方が思春期特有のものというより、現在進行形で続いている私自身の問題にも重なったんです。旧友が結婚・出産して、今まで通りには遊べないんだと悟った時の寂しさも、映画を観ながら思い出しました。

私もイーニドみたいに生きられたら、もうちょっと楽かもしれないと思えるシーンも多かった。バイト先では違和感を覚えた上司に反発するし、何事にも興味を持ったらすぐ行動。その真っすぐさに憧れます。

自分のパーソナルカラーなんか絶対気にしないであろう、イーニドの自由なファッションも大好き。報われるわけではない映画のラストには食らったけど、私もやっていくしかないよなと受け止めました。

ラッパー、アーティスト・valknee

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