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落語家・柳亭小痴楽がもう一度観たい映画と、その理由。『学校』

観るたびに新たな発見があったり、人生の変化に気づいたり。名作とは、何度観ても、また観たいと思わせてくれる作品のことかもしれません。映画を愛する落語家・柳亭小痴楽さんが繰り返し観る、人生の伴走者ともいうべき一本とはどんな映画なのでしょうか?

text: Kazuaki Asato

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自分の芯がブレてないか、号泣してでも確認したいから

中学生の頃、親父が「『男はつらいよ』と『仁義なき戦い』を観れば、学校に行かなくても十分学べる」と言ったのを信じて、その通りにしていました。学校をサボって、夜通しで親父とこの2つのシリーズを観ましたね。それから少しして前座修業中、瀧川鯉八さんに「兄さん、山田洋次ならこれも面白いですよ」と薦められたのが『学校』です。

僕は『男はつらいよ』で山田洋次を知り、『学校』で監督自身を好きになりました。この作品は観るたびに冒頭から泣きっぱなし。観るたびに人情の大切さを再確認できるんです。今の自分がブレてないかチェックできる大切な映画です。

舞台は夜間中学校。様々な事情で学べなかった老若男女が同じ教室に集うんです。教師役は西田敏行。生徒たちが、どんな人生を歩んで教室に辿り着いたかを知り尽くして、尊重しながら接する。その人情が沁みます。田中邦衛演じるイノさんは肉体労働で生きてきた苦労人。読み書きはできないけど、競馬好きだから競走馬の名前は書けるし、競馬実況は、立て板に水で再現できる。

こんな人間らしさを描ける監督の頭の中はどうなってるんだ、と不思議でならない。いつか息子にも観せたいけど、僕は隣でボロボロ泣いちゃうでしょうね。

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