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イラストレーター・カナイフユキがもう一度観たい映画と、その理由『CURE』

観るたびに新たな発見があったり、人生の変化に気づいたり。名作とは、何度観ても、また観たいと思わせてくれる作品のことかもしれません。映画を愛するイラストレーター・カナイフユキさんが繰り返し観る、人生の伴走者ともいうべき一本とはどんな映画なのでしょうか?

text: Keiko Kamijo

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恐怖心から湧いてくる想像力を、掻き立てられるから

ホラー映画が好きだったわけじゃないのですが、2年ほど前に偶然ネットで観てハマってしまった作品。
全体的にすごく怖いんですが、怖いだけじゃなくて美しい。暗い地下道、古い病院、交番など、いい寂れ具合の味のある建物が登場するんですが、よくそんな場所探したなという、すべてのシーンに貫かれた美意識にまずは圧倒されてしまいました。

印象的だったのは、冒頭で男が殺人を犯すシーン。暗くて不穏な映像とは対照的に、妙に明るくリズミカルなピアノの音が流れる。

終始そんな感じで、単に驚かせたり、気持ち悪い映像で恐怖を煽るのではなく、すごく不思議な感覚が残る映画でした。なので観賞後、頭の中にたくさんの疑問が湧いてきて。考察サイトを調べたり、黒沢監督のほかの作品を観たりして、少し情報を入れてから観直しました。

何回目かになると、最初はドキドキして見えてこなかった部分が浮かび上がる。別シーンや別作品とのつながりを発見したり、この人が闇堕ちしたのはここだったのか、とか気づいてさらに背筋が凍ったりという。

恐怖を喚起する仕掛けの奥深さ、そして恐怖という感情の底知れなさを感じて、自分でもホラーを描いてみたいと思いました。

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