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“友情”は、難しいものなのだ。向里祐香と穂志もえかが『ゴーストワールド』を観て、思う

『ゴーストワールド』が帰ってきた!世の中を少し斜めに見ている主人公のイーニドとレベッカが、その時代その時代の、とりわけ同世代の女性たちの共感を呼び、今やこの手のガーリーな青春映画のバイブルと化している。そこで、この映画について、プライベートでも仲良しで映画好き、さらには来年からいよいよ配信が始まるハリウッド製ドラマ『SHOGUN 将軍』でも共演している2人の俳優、向里祐香と穂志もえかに語り合ってもらった。2人のやりとりを聞いていると、どことなく2人がイーニドとレベッカのように見えてくるのだが、さて、どちらがイーニドで、どちらがレベッカだろう。

text: Mikado Koyanagi

穂志もえか

この映画のことを知ったのは、『SHOGUN 将軍』の撮影でカナダにいた時。ビジュアルが気になっていて。でも、カナダでは観られなくて、今回やっと観られた。

向里祐香

私も初見だったんだけど、私たち、めっちゃこっち寄りだよね?(笑)自分が学生時代こうだったというより、大人になった今の状態でもこの2人には共感してしまう。社会に適合してなそうな人たちに対する愛情とか。

穂志

超仲良かった2人が、いつの間にか距離ができてしまうというのも、みんなどこかで通ってくる道だし。環境によって関係性が変わってしまうというか、お互いがお互い、ちょっとずつ高校のノリじゃいられなくなる。

向里

環境が変わると、自分でも価値観の合う、居心地のいい人を選んでしまうというか。もえかちゃんは価値観が近くて、しかも一緒の業界にいて、同じものを目指せているというのは、本当に出会えて良かったなと思っているし、ホッとできる場所というか。

穂志

いつも戻って来られる場所ってこと?バス停のおじいさんみたいな(笑)。

向里

そうそう。そういう存在が近くにいてくれて本当に心強い。

穂志

イーニドもそうだけど、こういう仕事をしていると、どうしてもわかりやすいところでジャッジされちゃうところがある。表面に出ている部分だけじゃなくてその奥の本質をきちんと見てもらえることが少ない気がする。

向里

シーモアが開いたレコードコレクターのパーティで、新品同様のレコードにしか興味を示さないおじさんがいたけど、表面だけで価値をつける人たちがいるということだよね。

もえかちゃんとは、カナダの撮影で知り合ったんだけど、最初のイメージと話してみた時のギャップがめっちゃあった(笑)。でも、ちょっと話してみて、ちゃんと考えを持っている子で、思ってもいないことは絶対に言わないタイプ。そういう人こそ私は信用できると思うから。

“ゴースト”の真意とは?

穂志

それにしても、いつから祐香ちゃんとこんなに仲良くなったんだろうね。映画では描かれていないけど、イーニドとレベッカも、こんなふうにいつの間にか仲良くなったのかもね。

向里

この時代にはスマホとかSNSとかないけど、この2人、今ならしょっちゅう連絡取って、細かいどうでもいいこととか言ってそう(笑)。

穂志

イーニドは仕方なくLINEとかやるんだけど、友だちのリストにレベッカしかいなそう(笑)。ところで、これはネタバレになっちゃうと思うけど、最後のシーン、どう思った?そのことについても話したかったんだよね。

向里

それについては、ちゃんと話したかった!2回目に観た時、え、怖ってなっちゃって。(ここで向里の解釈が入るが、ネタバレのため割愛)最初のポップな感じから、何これっていう終わり方になって。

でも、いろんな解釈ができると思うんですよ。そう思ったら、単純な青春とか、思春期で済ませられないこの作品、何だってなっちゃった。これ、みんなどういうふうに解釈してるの?ゴーストでしょ、そもそもこの映画の世界は何だったんだろうって。

穂志

たしかに、祐香ちゃんの話聞いてたら、映画の重みが変わってくるぞと思った。イーニドは、めちゃくちゃ葛藤を抱えながらも、周りには好き勝手に振る舞ってるように見える。でも、誰にも気づかれずに孤立していく女の子のようにも見えてきたなって。

向里

この話の続きは、鍋パかな(笑)。

穂志

うん、久しぶりに鍋やろう、今年中にね。

いつも一緒だったこじらせ女子イーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)が、高校卒業後、イーニドが冴えない中年男シーモア(スティーヴ・ブシェミ)に興味を持ってから微妙にすれ違っていってしまう……。バッドでガーリーな青春映画の傑作が22年ぶりにスクリーンに蘇る!全国公開中。