Drink

一日の始まり、モーニングコーヒーの名店 Vol.2

朝限定の日替わりブレンドを出す老舗から、スペシャルティコーヒーを丁寧に淹れるスタンドまで、朝から至極の一杯が飲めるお店を紹介。モーニングコーヒーの味が一日の出来を左右する。

Photo: Keisuke Fukamizu, Shinsaku Yasujima, Koh Akazawa, Shota Kono / Text: Naoto Matsumura, Koji Okano, Emi Suzuki

朝日もまばゆい場所で
美しい酸味の映えた一杯を。

LUCENT COFFEE(東京/蔵前)

テーブルなし、客席をベンチだけにすることで生まれる開放感。

東から注ぐ朝日の気持ち良さに惹かれて、この物件に決めたと話す中田真・翔子さん夫妻。2019年7月に開業した店内では、晴れた朝には光が弧を描くのが見える。穏やかな朝の時間に寄り添うのは浅煎りのシングルオリジン。熱風とハロゲンランプで火入れできるストロングホールド社製の焙煎機を使って、美しい酸味を引き出している。エチオピアのウォッシュトには、目覚めた体に染みる瑞々しい果実感も。ゲストハウスや職人のアトリエが多く、浅煎りも好まれる界隈で、朝からハンドドリップの一杯が飲めると重宝されている。

道からドリップする姿が目に入る外装に。中田真・翔子さん夫妻はメルボルンのカフェでの修業経験も。
日本に数台しかない珍しい焙煎機。
「トースト」¥370と酸味が爽やかな「エチオピア ウォッシュト」¥455。

飲み屋が連なる横丁の
タコス店で朝から間借り営業。

andoh coffee(東京/吉祥寺)

吉祥寺駅前、特に中央口には朝から開いているコーヒースタンドが稀有。

吉祥寺出身の安藤久雄さんは、コーヒースタンド〈SIDEWALK STAND INOKASHIRA〉で経験を積み、昨年9月に、ハモニカ横丁に佇む〈TACOS Shop〉の2坪の狭小空間で間借り営業をスタート。オープン当初は午前中のみの営業だったが、好評につき今年から平日のみ夕方まで延長が決定。それでも朝から店を開けるのは、出勤前や散歩中にコーヒーを求める常連客が着実に増えているから。それに伴い、モーニングコーヒーも始めた。豆は苦味が少なく、香り豊かなエチオピアやグアテマラなど日替わりで、浅煎りコーヒーを淹れて出迎える。

自宅に設置した小さなロースターで焙煎したばかりのスペシャルティコーヒーを、さまざまな抽出器具を用いて提供する。
優しい口当たりのモーニングコーヒー¥350(税込み、〜10時30分)。
手作りベイクも。

オリジナルブレンドを基軸
にしたモーニングセット。

小川売店(神奈川/茅ヶ崎)

時に料理もこなすバリスタの卓哉さん。

コーヒーと軽食”がコンセプトの〈小川売店〉の朝の店内では、地元客が昔ながらの喫茶店のようにモーニングを楽しむ。〈カフェ キツネ〉のバリスタだった店主、小川卓哉さんの淹れるブレンドコーヒーと妻の小雪さんが作る軽食はオープン2年目ながら茅ヶ崎の朝の名物になりつつある。ブレンドは〈27コーヒーロースターズ〉に依頼し、程よい酸味とスッキリさを求め、朝に合うよう作る。しかも店で出す軽食は、ブレンドに合うものだけを用意している。こだわりのブレンドと、ブレンドありきの軽食をセットで頼み、懐かしくも新しい朝に浸ってほしい。

古き良き喫茶店のようなメニューが揃い大人も子供も楽しめる。
シュガーバタークレープか、自家製ベーコンエッグとトーストかを選べるモーニングセット。コーヒーとは別でオレンジかミルクが付く。
店の看板にも“コーヒーと軽食”の文字。

朝営業の「朝ディモンシュ」で
名店の一杯をカジュアルに。

café vivement dimanche(神奈川/鎌倉)

ブラジルのネオソウルが流れる店内。堀内さんはCDを監修するほど音楽に精通する。

1994年に開業し、カフェブームの火つけ役ともいわれる同店。「朝ディモンシュ」はワッフルとアメリカーノのセットが¥600(税込み)で、手頃さからリピーターも多い。店主・堀内隆志さんが淹れるハンドドリップが人気の昼営業とは違って、朝はエスプレッソドリンクとマシンで落とすコーヒー中心のスタンド形式。価格は手頃でも、抽出に長けたスタッフが0・1℃単位で湯温を調整、日替わりで2種のエスプレッソを淹れ分ける。実は東日本大震災の計画停電を機に始まった朝営業。今や鎌倉・小町通りの光景として、すっかり定着している。

ワッフルとカフェラテのセットは¥700(税込み)。
看板の絵は常連さん作。店のTシャツには長場雄さんのイラストがプリント。
エスプレッソの豆は日替わり2種(中煎り、中深煎り)から選べる。