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「ととのう」だけじゃない!「あまみ」「産湯」etc. 現代サウナ用語辞典 〜後編〜

「ととのう」は2021年の新語・流行語大賞にノミネートされたが、その後もサウナ関連で多くの重要用語が続出中。そこでCULTURE SAUNA TEAM“AMAMI”の草彅洋平が現代に必須と思われるキーワードを厳選、解説する。前編はこちら

text: Yohei Kusanagi

社長の荒木です

サウナ業界に詳しい筆者でもまったく意味がわからない用語。この言葉をネットで書き込まれたら、とにかくサウナに行くしかないらしい。

昭和ストロング(スタイル)

昭和時代に数多く存在した、カラカラ&アツアツのサウナ室のこと。またはそうした類いのセッティング。干からびるほどの低湿度+高温状態のため、肌や髪へのダメージが強く、女性がサウナに悪いイメージを持つ一因にもなった。

だが、男性にはこの系統を好きなサウナーも多い。ちなみに筆者は、サウナ→水風呂→サウナ……と、外気浴をせずに延々に入り続ける行為もストロングスタイルと呼んでいる。

所作

サウナ、水風呂、外気浴に入る行為。またはその一連の動き。例文/「あの所作見ろよ、あれはプロだな」

セウナ

「セックス×サウナ」の造語で、AV男優しみけんが命名。サウナの“ととのい”に1つプラスされた“最高のととのい”が発生すると提唱している。サウナ付きのラブホテルでサウナ前後に行為に及び、水風呂、外気浴に至る一連の流れを指す。

漬ける

水風呂を体験してもらう行為。通称「づけ」。初心者は水風呂に抵抗感があるため、単独で入ることが難しい。そこで一緒に入浴し、サウナの良さを理解してもらうのだ。例文/「あいつ、サウナ初めてなの?俺、漬けてこようか?」

導師

サウナに導く人。サウナ初心者をサウナ沼に漬け込む存在を呼ぶ。別の呼び名で「師匠」「マスター」も。

友の湯チャレンジ

「軟水凶暴スチームサウナ」「暴君サウナ室」とちまたで称される東京・江戸川区にある銭湯〈友の湯〉のスチームバスに入る挑戦のこと(筆者命名)。尋常ではない暑さに、数多くのサウナーが撃沈。入るのにはサウナーとしてのあらゆるスキルが必要となる。

チャレンジ基準として(1)扉を閉める、(2)ストーブがしっかり温まった夜間帯(21時以降)、(3)3分以上の入室、が基本。施設内で使用している軟水の水質は圧巻!

ドラクエ

複数人でサウナ施設を訪れ、サウナや水風呂、休憩も常に一丸となって行動すること。若者や新規サウナーに多く見られる迷惑行為。有名RPGの、キャラクターが連なった動きにたとえられ、新型コロナウイルス感染症の流行期に命名、周知された。

日本サウナ・スパ協会

1990年、日本のサウナ営業者の資質の向上、サウナに関する正しい知識の普及ほか、健全なサウナ事業の発展と育成、さらには環境衛生の向上に寄与することを目的に設立。現在は公益社団法人として、サウナおよびスパの健全な発展のため尽力している。

主(ぬし)

毎日いるサウナ施設の常連客のこと。オーナーとは別で単なる客だが、主が暴走することによりサウナ室に私物を持ち込んだり、新参客に厳しく指導したり、独自ルールを設けて強要していくことも。だが、それぞれの施設の独自の文化として花開くこともあり、悪いとは一概に言えないのが難しいところ。

ヒートショック

急激な温度差によって血圧が上昇・下降することにより心臓や血管に負荷がかかり、心筋梗塞や脳出血などの重篤な疾患を起こすリスクが高まること。予防法としては極端な入り方を避け、サウナ室内ではまずは下段から、水風呂ではぬるま湯のシャワーなどで体を少しずつ慣らしながら入る、などがある。

フレッシュエアー

そのまま「新鮮な空気」という意味だが、サウナ室に常に酸素が循環している状態や、そうしたサウナ室を指す。例文/「次世代のサウナはフレッシュエアーが大事!」

プロサウナー

サウナで汗を流すのではなく、サウナの未来のために汗を流す人のこと。施設経営者、サウナ建築家や施工業者、熱波師、サウナグッズ販売者、サウナ著述家、今号の『BRUTUS』制作陣などがこれに該当する。なかにはサウナビジネスを営むだけの人をプロとは呼ばない、という厳しい人もいる。

マフィア・シティ

サウナ室の温度を勝手に上げること。施設に無断の場合は迷惑行為に。通称「マフィア」。2022年10月14日、滋賀県の銭湯〈都湯−ZEZE−〉にて、サウナ室の温度セットを施設側に無断で140℃以上に設定する利用者が出現、全国ニュースに。モバイルゲーム『マフィア・シティ─極道風雲』がサウナの温度変更によってボスを殺害するシーンを広告でやたら流しているため、この行為に名称がついた。

例文/「(個室サウナで)設定温度上げておいたぜ」「マフィア(・シティ)やな〜」

ロウリュ

サウナストーンに水をかけ、蒸気を発生させることで、サウナ室内の体感温度を上げる行為。フィンランド語で、発音の難しさから、かつては「ロヨリ」「ラウルト」「リョウリュ」と表記がまちまちでさまざまな呼び方が存在していた。

後に日本サウナ・スパ協会が「ロウリュ」に統一、以後定着して現在に至る。日本で初めてロウリュができるフィンランド式のサウナを誕生させたのは1966年開業の〈スカンジナビアクラブ〉(現在は廃業)。ちなみにフィンランドの首都ヘルシンキ市に〈Löyly(ロウリュ)〉というモダンなサウナ施設があり、サ旅におすすめ。

*医師監修:加藤容崇(日本サウナ学会代表理事)