五條天神宮の日本最古の宝船図
平安時代に創建され、医薬の神・少彦名命(すくなびこなのみこと)を祀(まつ)る京都の五條天神宮。

こちらでは、日本最古とされる「宝船図」が授与されています。正式には「嘉賀美能加和宝舩」(かがみのかわたからぶね)という名前の図で、室町時代にまで遡る歴史を持つと伝えられました。大正時代まで、この宝船図は宮中、親王、公家のみに献上されていましたが、現在は毎年節分の日に一般にも授与される縁起物として親しまれています。

五條天神宮の宝船図には、一般的な七福神の姿はなく、代わりに一艘の船と一束の稲が描かれています。船は、少彦名命が高天原(たかまがはら)から出雲国に降臨した際の船、稲は命の根元を意味し、最上の宝物とされています。また、宝船の上の文字は「テイヨクヘリホミイ」と読むとされますが、その意味はわかっていません。神話時代の文字で、ひらがなのもとになったものともいわれています。